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「助けてみてよ」と言うAに対し、「そのつもりだよ」と返した手前、この連絡を無視するという選択肢は無い。
土曜だし、暇だし、寂しいって言ってるし。
ジャージから適当に着替え、財布とスマホだけを持って家を出た。
電車に揺られて10数分経つと、待ち合わせの駅に停車した。降りる人も乗る人もまばらで、これならすぐに見つけられるだろうと改札に急ぐ。
妙にドキドキした気持ちを抑えてあたりを見回すと、見たことのある姿を見つける。
「あ、いた」
「おい、どうしたんだよ」
「えー？じゃあ、行こ？」
なにがあったか聞こうと思ったけだ、うまくはぐらかされたような気がする。
もしかしたら、何もなくてただの気分かもしれないが。
絵文字もなにもない文章に相当落ち込んでいるのかと思ったが、思ったよりケロッとしている。
行こ？なんて言って歩き出した先はいつもの繁華街。じわり、と嫌な予感がする。
「……俺ら高校生だぞ」
したくない予想をして先回り。
「私服なんだしわかんないよ」
先を歩きながら、なんでもないみたいにヘラヘラした声が聞こえる。
「他にもいっぱい行くところあるだろ」
ぴたりと足を止めると、付いてきていないことに気づいたのかこっちを振り向いた。
「……助けてくれるっていったじゃん」
確かにその目は潤んでいた。
Aの目か、エリカの目か。俺にはわからない。
「寂しいの」
「家に帰りたくないの」
「ここでしか、穴を埋める方法を知らないの」
涙声で俺訴える姿を見て、身体の底が熱くなる。
「わかったよ……ただし、なんもしねぇから」
「ふふ、ありがとう」
俺たちは、足を踏み入れてしまった。
でも、戻れなくなるなんてこと、ないはずだ。
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作者名：あり | 作成日時：2019年3月21日 17時
