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目を合わせたまま表情が固まる私を見て、体の向きをこちらに向けた猪狩が口を開いた。
「Aさんを好きって思ってる人がいるってこと」
ほのかに顔が熱くなるのを感じる。
よくわからない。
人に好意を向けられることが。
高校生にもなって、わからない。
「絶対違うと思うけどそれっていが」
「断じて違う」
「ですよねー……」
食い気味に答えた猪狩。
勘違いしかけたことを心の中で謝罪した。
「ちなみにそれは、だれ」
肝心の部分を恐る恐る聞いてみると、猪狩ははぁ、とため息をついた。
「簡単教えられるわけないでしょ」
「だよねぇ…」
勝手なイメージではあるが、一度言わないと決めたら絶対に口を割らなそうだ。
私は人を特定することを諦めた。
それは私の知っている人なのか、それともまだ見ぬ誰かなのか。
一度気になると
「あぁもうなんか、知りたいような知りたくないような」
ヘアアイロンで伸ばした髪が、右手の中でぐちゃっと乱れる。
「今わかったらその人のこと好きになんの？」
「それはそのときにならないとわかんないなぁ
あ、でも意識はするかも」
「ふーん……」
「強引だったりしたらそれは、ね」
興味が失せたのか満足なんだか、猪狩は前を向いて次の授業の準備を始めた。
猪狩の目には、なんでも見透かしてきそうだと本能が言う。
さっきまであっていた目を逸らしてしまう。
さっきまでわからない、わからないと言っていたけど、心の中では久しぶりの感覚に喜んでいる私がいる。
もちろん、悪意を向けられるよりも好意を向けられた方が嬉しい。
しかし、好きの反対は嫌いではなく無関心ということを知っている。
その人も時間が経てば、私のことを良く知れば、嫌いにはならずとも無関心になるのではないか。
恋は、儚い。
黒板が消されていく様子をじっと見ていた。
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あり(プロフ) - 廉しょりさん» コメントありがとうございます！無事完結いたしました！読んでくださったようでとても嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年12月21日 22時) (
レス) id: f999b45b65 (このIDを非表示/違反報告)
廉しょり - 完結おめでとうございます！ (2018年12月21日 20時) (レス) id: d33008032f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 頑張ってください！ (2018年11月14日 18時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます！楽しみと言っていただけてとても嬉しいです。頑張って描き進めますので、どうぞよろしくお願います！ (2018年11月10日 12時) (レス) id: 6af7259f28 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 続きが気になります！更新楽しみにしてます^^ (2018年11月10日 1時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あり | 作成日時：2018年11月6日 16時
