36 ページ37
.
さっきまで寒かったはずなのに、何故かすごく暖かい。どころか身体が熱い。
返事をしようと口を動かすもうまく言葉として出てこなくてもどかしい。
「……うん、やめよう。私も好きだから」
そう告げると、勢いよく抱きしめられる。
ぎゅうっとされて苦しいけど嬉しくて私も背中に手を回して抱きついた。
なんか、バカップルって感じだなと思いながらも今はこの幸せに浸ることにした。
耳元で「よかったぁ……」なんて弱々しい声が聞こえてきて愛しさが加速する。
「おれのこと、なんとも思ってなさそうだったから……」
「まあ最初は」
「わかっててもさ、ね。諦めるつもりなかったけど」
腕の力が強くなった。
「意識されないって辛いよね。わかる。」
「へ」
「今言う話じゃないけど前そうだったから。前付き合ってた人、私のこと友達としか見られなかったんだって。同じこと、高橋にしてた」
そう言うと、高橋は腕の中から私を解放した。
「元彼の話、しなくていいだろ。昔あったことは置いておいて、今はおれじゃん。あと……優斗って呼んでよ。距離感感じて嫌だから」
若干不機嫌そうな顔でさえ可愛いと思うのは重症かもしれない。
「ごめん……好きだよ優斗」
あーもう嬉しい!とはしゃぐ優斗。
晴れて彼氏彼女になった私たちは手を繋いで駅に向かった。
実は大昇に相談したこととか(筒抜けだけど)、あの言い逃げが嬉しかったこととか、お互いに知らなかったことを共有していく。
「好きにさせる」の宣言通り私は優斗のことが好きになってしまった。
しばらく好きとか恋愛とか付き合うとかはいいかな、と強く思っていた私の心はあまりにも簡単に変えられた。
自分の番が回ってくるのはいつも突然なんだ。
「ねぇ、好き。大好き」
「……うん」
私たちの物語は、ようやくスタートを切った。
end
.
158人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あり(プロフ) - 廉しょりさん» コメントありがとうございます!無事完結いたしました!読んでくださったようでとても嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月21日 22時) (レス) id: f999b45b65 (このIDを非表示/違反報告)
廉しょり - 完結おめでとうございます! (2018年12月21日 20時) (レス) id: d33008032f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 頑張ってください! (2018年11月14日 18時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!楽しみと言っていただけてとても嬉しいです。頑張って描き進めますので、どうぞよろしくお願います! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 6af7259f28 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 続きが気になります!更新楽しみにしてます^^ (2018年11月10日 1時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あり | 作成日時:2018年11月6日 16時