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家に帰ると即ベッドに倒れこむ。
心臓の鼓動を押さえつけるようにうつ伏せになった。
私はきっと、高橋の気持ちを受け止められない。
わかった上で横に流してなかったことにしようとしている。
私が流した気持ちを次に受け取りたいと思っている人はたくさんいるし、そっちの方がいいのではないかとすら思ってしまう。
嬉しい、もちろん嬉しい。
けど、だけど……。
そんなことを考えているとポケットに入っていたスマホが振動した。
上半身を起こして見てみると、メッセージの通知。名前の欄には浮所飛貴と表示されている。
《さっきのなに!?》
《優斗くんと付き合ってるの!?》
《あのあとなんにもされてないよね!?》
《A!!!》
飛貴の賑やかさがダイレクトに伝わってくる文章にこんなときなのにふふっと笑ってしまう。
《本当に出掛けてただけ》
《付き合ってないよ》
《普通に帰った》
返信すると、即既読マークが付く。
《あいつ絶対Aのこと好きだよ!》
《気をつけて!》
……だよね。
飛貴からもそう見えるよね。
というか、何を気をつければいいの?
次の日の高橋はいつもと同じ雰囲気だった。
私が席に着くときは隣の猪狩と話していて、私に気付くなり「おはよう!」とニコニコ挨拶をしてくれた。ちなみに、猪狩はその様子を面白そうに見ていた。なかなか良い性格をしている。
私には思うところが色々あるが、同じようにあいさつをする。
いつものようにカバンを整理しようとすると、猪狩が思わぬ爆弾を落とした。
「昨日どうだったの?行ったんだよね?」
「ちょ、そうやん」
「普通に楽しかったよ?ね?」
焦る高橋を尻目にへらりとそう答えて同意を求めると、なんというか、「マジか」とでも言いたげな顔をする高橋と目があった。
「そうなんだ、よかったじゃん」
「うん。映画面白かった」
「あ、うん、面白かった!」
高橋が何でそんな表情をしたのか、私にはよくわからない。
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あり(プロフ) - 廉しょりさん» コメントありがとうございます!無事完結いたしました!読んでくださったようでとても嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月21日 22時) (レス) id: f999b45b65 (このIDを非表示/違反報告)
廉しょり - 完結おめでとうございます! (2018年12月21日 20時) (レス) id: d33008032f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 頑張ってください! (2018年11月14日 18時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!楽しみと言っていただけてとても嬉しいです。頑張って描き進めますので、どうぞよろしくお願います! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 6af7259f28 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 続きが気になります!更新楽しみにしてます^^ (2018年11月10日 1時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あり | 作成日時:2018年11月6日 16時