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「……何見てんの?」
「映画の時間見てる」
帰り道、前方に1人で歩く大昇を見つけたのでそのまま一緒に駅まで行って電車に揺られる。
隣に座る大昇は私のスマホの画面を覗き込んだ。
「へぇ、いつ行くの」
「土曜日」
「誰と?」
「高橋」
「え?高橋優斗?」
高橋の名前を出した途端、大昇は怪訝な顔をした。
「そんな仲良かったっけ」
「うん。最近友達になった」
なんとなく恥ずかしくて、告白されたということは黙っておいた。
でもだいぶ上手くやらなければ学校という狭いコミュニティーでバレるのは時間の問題だと思う。
「ふーん。なんかビックリ」
「そう?」
「……好きなの?」
「なわけ。いい友達だよ」
ほんとかなぁ〜なんてにやにやする大昇を本当だよ、と叩く。
まあ、私がなんとも思ってなくても向こうは私のことが好き……らしい。
今もその気持ちが継続しているかは知らないけど。
電車を降りて改札を抜けると、見慣れた街が広がる。
「友達ねぇ、うん、そっか」
大昇は何かぶつぶつ言いながら足元を見て歩く。
「……なにか?」
「そこのポジションに落ち着くことにしたんだっけ?しばらくは」
「そう。しばらくはね」
「その方が楽?」
「もちろん。色々考えなくていいし」
大昇は、色々知っている。文字通り色々と。
「同じこと繰り返したくないもんな」
「そりゃそうだ」
あのとき、1人で落ち込む私の部屋に大量のお菓子を抱え、無理矢理押し入ってプチパーティー兼慰め会を開いてくれたことを思い出す。ゾンビを倒すゲームも持ってきて、ゲームの世界で思いっきり銃をぶっ放した。
大昇は人との距離感をはかるのが上手い。
私が泣いたときは適当に面白い話をしながら隣にいてくれた。
「ま、頑張れ」
「何を」
「……しーらね」
「はぁ!?」
じゃあまた!なんてひらひら手を振る大昇。
わけわかんない!ってこっちも手を振る。
土曜日がやってくるまであと少し。
時間を決めるためにメッセージを打ち込むのが、少し楽しかった。
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あり(プロフ) - 廉しょりさん» コメントありがとうございます!無事完結いたしました!読んでくださったようでとても嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月21日 22時) (レス) id: f999b45b65 (このIDを非表示/違反報告)
廉しょり - 完結おめでとうございます! (2018年12月21日 20時) (レス) id: d33008032f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 頑張ってください! (2018年11月14日 18時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!楽しみと言っていただけてとても嬉しいです。頑張って描き進めますので、どうぞよろしくお願います! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 6af7259f28 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 続きが気になります!更新楽しみにしてます^^ (2018年11月10日 1時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あり | 作成日時:2018年11月6日 16時