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いいよ、と返事をすると、わかりやすく顔をぱぁっと明るくした。そんなに喜んでくれると思わなくて、なんだかこっちまで嬉しくなる。
2人並んで校門を出る。
いつもより風の音や車の走行音が大きく聞こえてざわざわした。
「朝はごめん。急すぎてびっくりしたと思う」
「ううん、大丈夫」
真剣な声で言われて、それしか返せない。
夕暮れの少し冷たい空気は朝のことを鮮明に思い出させ、私の顔を熱くする。
「本当に早く返事しろとか、ないから」
「……うん」
高橋は相当私に気を使っているようで、なんだか気まずい。教室とキャラが違いすぎて、どんなテンションで話していいのかわからない。
私の返事が素っ気無さすぎて会話が進まないまま脚が進む。
次に何を言うのか、沈黙が痛い。
でも、いとも簡単その沈黙を破ってくれた。
「とりあえず、友達になってくれたら嬉しい!」
突然そう言って、QRコードの画面をずいっとこちらに向けた高橋。そういうことか、とメッセージアプリを起動してそれを読み込む。
朝話した人から友達にランクアップ。
そう思うと会話も進む気がした。
「高橋、電車通学?」
「そう。下りだけど」
「そっか。私上りだから、ここで」
「……うん」
「楽しかった!じゃあね」
改札に入って、左右に分かれる前に自然と2人は立ち止まった。
そのときに並んだ肩から、私は高橋がずっと歩幅を合わせて歩いてくれていたことに気づく。
「朝言ったこと、本当だから。からかってるとか一切なく本気だから……じゃあな!気をつけて」
ひらひら手を振って、エスカレーターの方へ歩く高橋。
恋をしたら、エスパーでも使えるようになるのか。
さっき交換したばかりの連絡先。トーク画面を開いて文字を打ち始めた。
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あり(プロフ) - 廉しょりさん» コメントありがとうございます!無事完結いたしました!読んでくださったようでとても嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月21日 22時) (レス) id: f999b45b65 (このIDを非表示/違反報告)
廉しょり - 完結おめでとうございます! (2018年12月21日 20時) (レス) id: d33008032f (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 頑張ってください! (2018年11月14日 18時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
あり(プロフ) - 白雪さん» コメントありがとうございます!楽しみと言っていただけてとても嬉しいです。頑張って描き進めますので、どうぞよろしくお願います! (2018年11月10日 12時) (レス) id: 6af7259f28 (このIDを非表示/違反報告)
白雪 - 続きが気になります!更新楽しみにしてます^^ (2018年11月10日 1時) (レス) id: 7dc2471e07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あり | 作成日時:2018年11月6日 16時