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朝っぱらからあんなことがあって、普通に日常を過ごせる人っているんだろうか。


部活に行く友達に手を振り、疲労と鞄を抱えながらいつもよりも重い足取りで廊下を歩いていく。



1時間目から6時間目まで先生の授業を適当に聞き流し、板書もそこそこに右斜め数列前の高橋をチラ見している自分がいた。
もっと言うと、休み時間も友達と話しながらチラチラ見ていた。


数時間に渡る観察の結果、わかったことがある。



それは高橋は「いいヤツ」だということ。


誰とでも楽しそうに話すし、人当たりがいい。
いつも周りに人がいて、その中には明らかに「優斗くんが好き！」オーラを放っている子もいた。高橋が気づいているのかいないのか、それとも気づいた上で知らないフリをしているのか……。


しかもシンプルに容姿がいい。
女子が羨む色白の顔にくりっとした目、意志の強そうな眉、以外と可愛い口……それらがいい感じに収まっている。
今までしっかり見たことがなかったから、かなり意外だった。


圧倒的コミュ力と陽キャオーラにプラスしてあの見た目。女子が放っておく訳がない。引く手数多のはずだ。


なのに、なぜ私？


私はお世辞にもモテる部類には入らない。むしろ低倍率。
ただ、「妥協してもいいから手っ取り早く彼女が欲しい！」という層にはお手軽な存在かもしれない。


だけど女の子に困らない人間が、私に来るわけがない。



だったらなんだ、私は遊ばれている？からかわれている？



実は高橋、人間性にめちゃくちゃ問題があるのか？裏の顔(あるか知らないけど)はサイコパスなんだろうか。なんらかの問題があって付き合った女の子がみんな逃げ出したのか。


謎が謎を呼び出した頃、後ろから声がかかる。

思わず肩がびくっ！と動き、脚が止まった。




「よかったら、一緒に帰らない？」








脳内があんたでいっぱいだ。



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