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うらさん、と呼ばれた小さな茶髪さんの頬は、確かに少し赤くなっていた。
私を置いてやり取りをしているおふたりに、口を出していいのかと迷っていると、金髪さんがぱちん、と手のひらを打った。

「ふたりともそのくらいにしとき。その子、もっと困っとるで」

金髪さんの声を聞き、半ば喧嘩のようになっていた坂田さんと茶髪さんは、はっと我に返った顔をした。

「…すんません」
茶髪さんは少ししょんぼりとしながら謝る。
それを見て、叱られているときの犬みたいだな、なんて思ってしまった。
「うらさん、犬みたいやなぁ」
「っ、うっせぇばぁか」
私の気持ちを代弁するように、坂田さんが言う。
茶髪さんはますます頬を赤くした。

「っふふ、」

その微笑ましい光景に、思わず私は笑ってしまった。
すると四人は、きょとんとした顔で私を見た。

しまった。見ず知らずの人に笑われるだなんて、不愉快だっただろうか。

「あっ…すいません、仲、良いんだなぁって」
「んー?全然ええよー。ていうかお姉さん、笑うと倍かわええなぁ」
「えっ!?えぇ、そんな」
坂田さんはにこにことしたまま、さらりと言ってのける。

「坂田ー、お前いい加減その辺にしとけよ」
「せやで〜。でないと、うらたんがまた怒ってまうよ」
「え〜〜〜」
冷静そうな金髪さんと紫髪さんが、坂田さんにツッコミを入れる。

そんな四人のやり取りを見ているだけで、なんだか心がぽわぽわと温まるような感覚がした。

――こんなに穏やかで、仲の良さそうなお侍さんどうしの会話を見たのは、いつぶりだろう。
しばらくお侍さんの接客なんてしていなかったし、もしかしたら、初めてかもしれない。

四人のやり取りを微笑ましく見ていると、

「お姉さん、僕ら、どこに座ればええですか?」

やいのやいのと未だに話している三人の側から、柔らかく笑いながら京都弁混じりに金髪さんが聞いてきた。
金髪さんはどこかミステリアスな雰囲気を纏っている、これまた顔の整っていらっしゃる方で、無意識にも心臓が鳴ってしまう。

私は慌てて、奥の方の座敷を手で示した。

「あ、どうぞ、こちらの席へ――」

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作者名:黒崎クロエ | 作成日時:2019年1月12日 17時

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