＜FE＞絶望の運命・覚醒編第二巻 (ページ10)

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ページ57 罠ページ10

足元に浮かび上がった紫の魔方陣は、足だけでなく、次第に全身を拘束していく。

呼吸はできるが、顔を動かすことすらできない。

「くそっ…騙したなファウダー！！」

「えぇ、その通りですよ。先王の時もそうだった…あなたたちは本当に騙されやすい」

喉の奥で笑いを漏らしながら、ファウダーは自身を睨みつけるAの側へと歩み寄る。

「…こんなに大きくなったか」

「え？」

小さく呟いたファウダーの声は、二人には届かなかった。

それを気にする様子もなく、ファウダーはAの羽織るローブの内側へと手を入れる。

「なっ…！？なにをするんです！」

「Aに触れるな！！」

ローブから手を引いたファウダーが持っていたのは、戦闘用のサンダーの書。

続けて腰に巻かれたベルトの鞘から、剣を抜き出し、合わせて部屋の隅に放り投げた。

武器を奪うだけだったらしい。

「さぁ…ご移動の時間ですよ」

ファウダーが呪文を唱えると、Aの体の拘束が解放された。

咄嗟に立ち上がったAだが、ファウダーの護衛の兵二人にまた捕らえられる。

紫の拘束の光は、手首だけに集中していた。

もし武器を手に入れても、魔法や剣で攻撃させないためだろう。

「お前たち、A様を祭壇へ」

「はっ」

「離してくださいっ！やっ…クロムさん！！」

「A！！このっ…」

連れ去られそうなAを助けようとクロムは懸命にもがくが、高位魔法のため流石に効かない。

むしろ拘束の力を強くされただけだった。

Aが部屋から出されたあと、ファウダーはクロムに近づいて笑みを見せる。

そのままクロムの頬を叩いた。

「A様は私たち教団のものだ。お前などが触れて良い相手ではない」

「教団…！貴様まさか！」

「申し遅れました。私は現王にして…ギムレー教団教主、ファウダーでございます」

丁寧な言葉遣いでクロムをからかう様に、ファウダーはにこやかな笑みを浮かべる。

教団はAを連れ去ろうとした危険な存在。

いつかAが伝えられた、母からの言葉。

教団から逃げろ。

それが最後の言葉だったという。

ならば一人にするのは極めてマズイ。

「Aは一体何者なんだ！教団とどんな関係があるというんだ…答えろ！」

「お前が知る必要などない…すぐに理解し、後悔することになる」

しかしこれだけは教えてやろう…と、ファウダーは笑う。

「Aは…」

「…私の娘だ」