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ページ56 会談 ページ9

「…それでは始めよう」

「えぇ、どうぞ。聞きたいことがおありなのですよね?して、それは?」


焦った様子もなく、冷静に尋ねてくる王。

その質問にはAが答えた。


「ペレジアが三年前、手を組んでいたという組織…ギムレー教団についてです」

「ギムレー教団…。あぁ、現在も存在しておりますよ」

「それはどんな集団なんだ?」


クロムの刺すような鋭い視線をものともせず、にこやかな笑みを王はしてみせた。


「ギムレー様は、ペレジアで信仰している邪竜様のことですよ」

「邪竜…?」

「はい。ギムレー様を強く信仰する者らが集まったのが、ギムレー教団というわけです」


邪竜といえば、イーリスに伝わる伝説の竜…神竜と対をなす竜のことだ。

以前、資料館で読んだことがある。

数千年前に、人類を滅ぼそうとしてクロムの祖先にあたる英雄王に封印された竜。

そんなものを信仰しているとなると、やはり気は抜けない。


「そうですか、わかりました」

「理解していただいて、何よりです王妃様」

「まて。まだ聞かねばならんことがある」


クロムの声が一段階低くなる。彼の本気の声だ。

何を聞こうとしているのかは、わかっていた。

あの日の…二つの事件のこと。


「戦前、その教団は我がイーリス王城に忍び込み、前聖王を暗殺した」

「……」

「それはイーリスを混乱させることが目的だったのだろう。が、もう一つ問題がある」

「…それは…?」


クロムがちらりとAに視線をやった。

Aも小さく頷く。


「教団の者が、このAを誘拐しようとした。それは何の目的だったんだ?」

「当時ただの兵だった私の名を知り、敬称で呼んでいた…。一体どういうことです?」


その質問に、王は首をかしげる仕草をして、微笑みを浮かべたままゆっくりと首を振った。


「…さぁ…。もう教団の者とは手を切っていますし、私には何とも…」

「…ふざけるな!現王妃に関わることだ。何も知らないとは言わせんぞ」

「ちょっ…クロムさん」


頭に血が上り始めたクロムを、Aがなんとか鎮める。しかし、王への疑いはAも同じだ。

二人の視線を受け、王は笑い出す。


「何がおかしい…」

「いえ…あまりに予想通りなもので」

「どういうことです…」

「どうもこうも…」


王が手をあげると、途端二人の足元に魔法陣が現れ、足を床に縫い付ける。

身動きが全く取れない。

王の手元にはいつの間にか紫の魔道書。

…はめられた。

ページ57 罠→←ページ55 新たなペレジア


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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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