＜FE＞絶望の運命・覚醒編第二巻 (ページ8)

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ページ55 新たなペレジアページ8

「出発ーーっ！！」

広場に集まった、懐かしい面々にリズが行軍開始の合図をかける。

また王族が国をあけることになってしまったが、フィレインに任せているから安心だ。

Aも、久しぶりの行軍にドキドキしていた。

二年前の日々を思い出す。

戦って、励ましあって、皆を率いて。

人を殺すのが楽しいわけではないけれど、仲間と共に戦えるのは楽しい。

今回は交渉であって戦ではないが、一応武器は装備してあった。

教団の謎が、まだ…解けていないからだ。

ペレジアとの国境を越える。

激戦の地となったあの場所にたどり着き、城の門へとまた進んでいく。

「…懐かしいですね、ここ」

軍師として初めての大舞台。

多くの人が、ペレジア前王が血を流したところ。

策が破れた時の辛さを味わい、仲間の大切さを感じられた場所。

「…そうだな。ここをまたあんな地にはしたくないと思う」

「はい…。同盟、上手くいくといいですね」

「いかせてみせるさ…姉さんに誓う」

その時のクロムの瞳は、決意に満ち溢れていた。

「イーリスの国王様ですね？…承知いたしました。少々お待ちください」

ペレジア城の謁見の間に案内され、王が現れるのを待つ。

その登場は、フェリアほど遅くはなかった。

奥の方から、先ほどの連絡兵を引き連れて歩いてくる人の姿。

戦の時によく見かけた、上級魔導師…ソーサラーの戦闘衣装を身にまとった細身の男。

彼が新王のようだ。

「あんたが、新しい王か？」

「聖王、クロム様ですね。初めまして。ペレジア王…ファウダーと申します」

ペレジアはたとえ王であろうとも、終戦の際に結んだ契約により、イーリスを敬わねばならない。

これにより、歯向かうものを減らしているのだ。

それはともかく、彼…ファウダーはどこか人間離れした顔立ちだった。

細すぎる体はさておき、肌の色が異様に濃い。

異種民族なのであろうか。

そんなものはいたかな…とAは知識を探るが、出てこなかった。

「早速ですが、同盟のお話ですね？」

「なぜわかる？」

「ヴァルムの情報はこちらもありますゆえ」

少し笑みを浮かべて答える王。

「同盟はもちろんだが、他にも聞きたいことがある。部屋を移せるか？」

「えぇ。では、こちらへ」

王が指示した兵の案内により、自警団の皆は控えの部屋へと移動する。

少人数で王と対話するために、クロムとAが代表をつとめた。

防音加工のされた個室で、会議は開かれる。