ページ54 新たな予感 ページ7
あれから二年。
王として、王妃として、忙しい日々は続く。
各地を旅してわかった貧富の差や、治安の悪さ。
それも一から立て直す。
とても大変だが、苦しくはなかった。
「A、ちょっといいか」
「クロムさん?えぇ、いいですよ」
部屋から手だけが見えて、手招きされる。
その指示に従って、足早にそちらへ向かった。
ドレスは脱いでいるので、いくらか歩きやすい。
入ったのは、王の執務室。クロムの座る奥のテーブルまで進む。
「どうかしましたか?」
「あぁ。少しAの知識を借りたくてな」
そう言ってクロムが広げたのが、大きな地図。
そこにはこの大陸の全土が描かれていた。
二つある大陸のうちの一つ、左側の大きな大陸をクロムは指差した。
「この国は、ヴァルム。国一つで大陸の全土を支配する強大な軍事国家だ」
「ヴァルム…聞いたことがありますね。なんでも騎馬隊がとても強いのだとか」
「その国が、こちらの大陸へ進出を始めているようだ…。軍を率いて進軍している」
「…危険ですね」
大陸を治めるほどの軍事力を持つ国が、小国の集まるこちらへと軍を進める。
それは九割の確率で侵略目的だ。
同盟の線も考えられるが、大国がこんな小国に対してそれをする必要はないだろう。
「できれば避けたいと思うのだが、フェリアやペレジアと話をするべきか、否か…」
「そうですね、あれから二年も経ちましたし、民の心も落ち着いているでしょう…」
やはりその方が良いかと、とAは進言する。
「私たちにも、守るべき存在ができましたもの。リズさんや自警団の皆さんも順々に…」
「そうだな…俺たちにも、ルキナがいる」
「えぇ…」
ルキナ。
二人の間に生まれた、愛しい愛しい愛娘。
まだ生まれて間もない彼女に、戦争を知ってほしくはない。
他の仲間の子も同様だ。
あれから結婚の波に乗り、数多くの仲間たちが幸せな家庭を築いた。
守るべき存在がいる以上、危険なことはできない。
「フェリアとは公約を結んでいますし、まずはペレジアと話をしてはどうでしょう」
「そうだな。あれから国の様子もよく知らない」
「なら、早速準備しましょう。時間がありません」
クロムが驚いて止めようとするので、Aは首を傾げる。
「ルキナはどうするんだ?母のお前は側に…」
「何言ってるんです、あなたを一人にできるはずがないでしょう」
注意不足なんですから!と小言を言うAに、クロムも折れた。
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時