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ページ88 転移 ページ41

「…お話はもう済みましたか?」


まだ勝ち誇ったような笑みで、ギムレーがルキナたちの方を見る。

ルキナたちはロランを中心に円を組み、それぞれが手を握り合っていた。


「防衛の陣のつもりですか?…無駄なことを」

「…いいえ。ギムレー、希望はまだあります。絶対にあなたには負けません…!」

「なら…ブレスを受けた後でもそう言えますか」


ギムレーは本体を下へと降下させる。

とたんに地上は雲に覆われたように暗くなり、突風が皆を襲った。

邪竜の口が開かれる。巨大な魔力を感じる。

そして何かが口から飛び出たその瞬間。


「今ですっ!」

「な…」


転移の魔法を発動し、ルキナたちは消えた。

ブレスが虚しく地面をえぐる。


「転移…ですか。…アノ小娘…」


ひとまず、ルキナたちがどこへ行ったのか突き止めねばならない。

何か策があるに違いない。

それが自分を倒す策なら危険だ。

自分に危害を加えるものは…全て排除だ。




(ギ、ムレー…。やめ…な…さ)

「アァ…。スッカリ忘レテイタゾ、A」


Aを押さえつける力も、この15年でつけた。

長時間押さえつけるのも苦しくないほどに。

それは、Aの方にも問題があった。

本来、人と邪竜では造りが違う。

しかしその中に長い間共存すれば、弱いほうが先に消える。

この場合、弱いのは人であるA。


「…モウオ前ハ手出シデキヌ。タダ見テイルガイイ…娘ガ、ソノ仲間ガ殺サレルノヲ」

(…!)


その精神は日に日に弱くなり、自分から表に出ることができなくなっていた。

常人ならもう精神は壊れ、体は完全に乗っ取られているはずだが、そこはさすが軍師。

どんな戦場にも対応する適応力と、素早く策を考える頭の良さ。

そして持ち前の忍耐強さで、Aは耐えていた。

しかし、これではただの話す人形。

人を守ることなんてとても…できはしない。


「マタ…眠レ」

(う…)


頭の中で何かが消える感覚。

Aの意識が途切れた証拠だ。

さて、ルキナたちを見つけねば。

転移魔法とはいえ、あの大人数ではそう遠くには行けないはずだ。

しかし、ロランの魔力も侮れない。

フェリア南部から、ペレジア東部、それからイーリス全土へ、感覚の糸を張った。


「………ナゼダ?」


いくら探ってみても、気配が感じられない。

捜索範囲が広いのか?

そう思って、範囲をイーリスだけへ絞る。


「…!」


すると、微かな反応が北東に現れた。

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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