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まずは遠距離攻撃、トロンの呪文を唱えてルキナへと放った。


「こちらも…!トロン!」

「ロラン…!」


しかし、それはリズと同じ…賢者の服をきた青年に阻まれる。

ロランという名なのか。

同じ威力の魔法が打ち消しあったらしい。

Aの魔力に匹敵するとは、なかなか賢い頭を持つ者だ。


「よそ見してんじゃないわよっ!」

「…!」


赤髪の少女が上空から切りかかってきた。

剣を抜く時間がなかったので、避ける。

距離はあったはずなのになぜこんなところに…。


「失敗するとは…まだまだだな、セレナ」

「うっさいわね!だいたいジェロームがあんなとこに落とすから悪いのよ」


そうか…あの竜に乗って…。

久々の体での戦闘といい、油断した。

ルキナとロラン…セレナにジェローム。

…面白い。これは楽しめそうだ。


「ふっ…!」

「ちょっ…うわっ!」


顔をこちらから離していたセレナに突撃する。

攻撃を防ぎ辛くするため、剣の切っ先を突き出すようにして攻撃した。

当然セレナは剣で防ぐことができず、こちらと同じように避けた。

避ける際にあたったのか、彼女の赤い髪が少しだけパラパラと落ちる。

それを見た瞬間、彼女の目の色が変わった。


「あっ…あたしの髪が…!!」

「…それくらい大丈夫だろう」

「髪は乙女の命よ!あーもう…さいってー!」


セレナはキッとこちらを睨みつける。

どうやら彼女の怒りに触れたようだ。

完全に放つオーラが違っている。


「…二人とも!一度戻ってください!」

「えっ…これからなのに…」

「命令だ。行くぞ」


ルキナの指令が届き、セレナはしぶしぶジェロームの竜に乗る。

すぐに二人の姿はルキナの隣に移った。

あの飛竜…かなりの機動力を持つ。

相手が引いた以上、こちらが出なければ。

転移の魔法はあえて使わない。

ロランの魔法を避けながら進軍し、まずは剣を構えるルキナに襲いかかった。


「やっ…はあ!」

「く…ふふ。やっぱり…クロムさんの太刀筋と全く同じですよ。王宮剣術ですか」

「父の名を口に…するな…!」

「…ちょっとは威勢が良くなりましたね」


揺れた瞳はそのままだけれど、剣にはしっかりと力がこもっている。

ルキナと剣を合わせ、持久戦になったために背中が空いた。

そこを見計らい、ジェロームが上空から小型の斧を投げつけてくる。

避けることはできないので、命の欠片を使って魔法を打ち出した。

これも久々に使う技。

そろそろ…本気を出そうか。

ページ85 圧倒的→←ページ83 台座と宝玉


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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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