ページ78 絶望を ページ31
貫いたそのサンダーの槍を引き抜くことはせず、そのまま固定する。
なのでリズの体はずり落ちることなく、その場にとどまった。
腹から多くの血が流れ、口からも吐き出す。
しかし瞳はまっすぐにこちらを見据えていた。
「…どうですか?クロムさんと同じ死に方ですよ。嬉しいですか?」
「う…ごほっ…Aさ…」
「義理の姉に殺される王女。…楽しいですね。私の仲間はみーんな、最高の絶望を味わって死んだ」
「…はっ…はぁ…く…」
「クロムさんも…マリアベルさんも…フラヴィアさんも…そして、あなたも」
次第に手への負担が大きくなってくる。
リズの体が沈んでいっているのだ。
さすがにもうもたないか。
最後のとどめ。
槍を一番奥にまで差し込んで、リズの耳元に顔を寄せた。
「ありがとう…リズさん。最高に楽しかったですよこの戦い」
「…あ…くぅ…」
「あなたの息子…ウードさんでしたか。彼も同じ死に方をさせてあげますからね」
「やめ……」
悲痛な表情で懇願するリズを突き飛ばし、硬い鱗の上に転がせた。
彼女の瞳に…もう色はない。
これで…愛娘のルキナ以外、Aの親族は息絶えたわけだ。
最後まで本当にありがとう…リズ。
お前のおかげでずいぶんと楽しめたよ。
お礼に…お前の国は、この器の国は、最後まで残してやろうではないか。
他の国を全て滅ぼし、たった一国となった状態で。
さて…どこまで耐えられるかな?
「アハハハハッ!」
絶望の楽しみはまだ終わらない。
__15年後。
リズたちが亡くなってから、人間にとって長い時間が流れた。
だが、この時間はギムレーにとってもつまらぬものだった。
ヴァルム、フェリア、ペレジアともに、崇拝の対象をなくしたせいで、兵の士気が低い。
簡単に壊れてしまって全く面白くなかったのだ。
まぁ…そのおかげで手早く他国を侵略し、滅ばせることができたのだが。
その分、イーリスはよく虐めてやった。
手始めに村々へと屍を送り、火を放ち、家屋を破壊し、体を破壊。
繰り返される破壊行為に人々はなす術もない。
ギムレーを止められるものなどいない。
人々は永遠に苦しみ続けるのだ。
新たな聖王が現れるまでは。
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時