ページ77 殺す ページ30
少しずつ、距離を縮めてくるリズとフレデリク。
やはりまだ警戒しているか。
二人はAを助けることができると信じている。
…そんなことはもう、不可能なのに。
この体の精神は死んでいない。中に憑依するものを追い出せば、助けるのは可能だ。
しかし、その憑依物が他のものに付いたり、消えたりしない限りは元の体に戻る。
最上の器を逃す気などさらさらないし、現時点でギムレーを消せるものなどない。
「さぁ…始めましょう」
この時を待っていたのだ。
リズたちが仲間から分担されるその時を。
仲間たちが戦う背の中央と、リズたちが立っている首のあたりの間。
ちょうどそれぐらいの場所に、屍兵を壁のように出現させる。
あの時と同じ状態にするために。
「リズさん…いいや、リズよ…。覚エテイルダロウ?コノ光景ヲ…」
「これ…」
「ソウダ…我ガクロムヲコノ手デ殺シ、オ前ノ仲間ノ命ガ多ク散ッタ」
「……」
リズは魔道書を強く握りしめて俯いた。
兄の死の時と同じ状態。
味方が二人で敵は一人。
あの時とクロムとAは油断して…一人は死に、一人は贄となった。
「コノ状態デ戦エルカ?」
「…っ……戦うよ。Aさんと約束したもん」
「約束…シタ覚エナドナイガナ」
「あなたじゃなくてAさんとしたの…!だから…だから私が…!」
「…アレは我ノ演技ダ。Aの意思ナドデハナイ。全てハオ前たちに絶望ヲ与エルタメニ」
竜の体…ギムレーの本体をうまく操り、顔をリズたちの方に向けた。
棘のようなブレスが二人を襲う。
しかし、回避された。
「それでも…Aさんはきっと助けを求めてる!」
「…ソウカ。デハ、Aノ手デ殺シテヤロウ」
「…リズ様!!」
リズに向けたサンダーの槍が、フレデリクの厚い鎧に突き刺さる。
一度ならず二度までも…。
せっかく兄と同じ死に方をさせてやろうとしているのに。
最後まで邪魔な男だ。
「フレデリクッ!!!」
「もうし…わけ…ありませっ…リズ…さま…」
「そんな…いやっ…いやああ!!」
待ちわびた悲鳴。絶望の声。
「サァ…ヤットオ前ノ番ダ」
「エルファイア!!」
最後の足掻きと言わんばかりに、リズは魔法を打ち続ける。
どれも大したダメージにはならない。
見せつけるように避け続け、最後は正面に回り込んで槍を持った手を前に差し込んだ。
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時