ページ74 あなたの望み ページ27
「我ノ望ミハ…」
(あなたの望みは…)
「…世界ヲ壊スコト。ソレダケダ」
(!…ギムレー)
語りかけても決して揺らぐことはなかった。
それだけ強い、破壊の意思。
一体、彼女…彼…の過去に何があったというのか。
この際…聞いてみようか。
(ギムレー、あなたは過去に…何か大切なものを失ったりしましたか?)
「大切…ダト?」
(人は…生き物は、生まれつき悪などではない…。あなただってそうです」
「……」
(もう一度聞きます…あなたはなぜ世界を壊したいほど憎むのですか)
ギムレーが黙り込む。
この体内のようなところからでは表情など見えはしないが、きっと悩んでいるだろう。
空間に吹く風が少し変わった。
「我ハ…タダ生キテイタ。ナノニ…人間ドモが、我ヲ崇メルハズノ者ラガ…!」
(…なのに…?)
「……」
(大丈夫です…私が聞きますから」
「……馬鹿メガ」
(え…うあっ!?)
風が勢いを増す。貫くような風に戻る。
先ほどギムレーがAの意識を抑え込んだ時のように、また。
(ギムレーッ…!あなたは望んでいない!あなたの望みは普通に生きることでしょうっ…?)
「ソレダケデ我ノ怒リガ収マルハズガナカロウ…。身ノ程ヲ知レ…人間」
(…ぁ…な、んで…!)
「オ前ガ器デアロウト関係ハナイ…我ヲ裏切ッタ人間ドモハ死、アルノミ」
ギムレーの望みは…人間を全て消すこと。
じゃあ…自分は?
自分は…助けて欲しいの?この状態から?ギムレーを追い出して?リズたちに?
Aは薄れゆく意識の中で願う。
どうかこの世界を…
みんなを…
私を…
そして…ギムレーを、
…救ってください。
救えますように…。
「…フン…落チタカ」
ギムレーは先ほどのAの言葉を思い出して、笑い出す。
「我ヲ助ケルダト?…クダラナイ。コンナニ簡単二消エルトイウノニ」
Aに話した、人が自分を裏切ったというのは本当の話だ。
はるか昔…しかしギムレーにとっては少し前、この地で起こった激しい戦い。
世界を脅かす竜を成敗するための戦い。
竜は、ただ共存していた子供が喜ぶと思って炎を吐いてみせていた。
それを見た大人たちは目の色を変え、竜に牙を剥いた。
そうして竜は封印されたのだ。
それ以来人々は竜を邪竜と呼んだ。
その竜の名前はギムレー。
ギムレーが望むのは、人類の滅亡。
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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時