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ページ73 小さな決意 ページ26

「Aさ…!?ふ、フレデリク!誰か…誰か来て!!」

「しっ!」


姿を見るなり助けを求めたリズの口を片手でふさぎ、黙らせる。

対して力のないリズは、片手で簡単に抑え込むことができる。

恐怖の色を滲ませた瞳。

それほどあの祭壇での出来事が恐ろしかったか。


「…静かに。ねぇリズさん、私はあなたにお願いをしに来たんです」

「…んんっ!…う…」

「私を…殺しに来てください」

「…!!?」


恐怖の色は吹き飛び、驚きの色へと変わる。


「私はギムレーに囚われたんです…だから、これ以上の犠牲を出さないためにも…」

「…うっ…ごほ!…Aさん?」


もういいだろう。

リズの口から手を離し、悲しげに微笑んだ。

もちろん……こんなのは嘘だ。

もう一度信じ込ませて…もう一度絶望を与えるためのただの建前。

しかし哀しみに壊れ、すがりつくことしかできないリズは簡単に信じ込む。


「ペレジアの城で、ずっと…待っていますから…。どうか…私を」


そのまま窓辺へと進み、飛び立つ。


「Aさん…うん。待ってて…。私たちがきっと…助けてあげるから…!」


静かに呟いたリズの声が耳に届く。

それでいい。早くここへ来て、信頼してほしい。

それを壊すのが…楽しみで仕方ない。

…さて、どう迎えてやろうか。





「リズ様!どうされたのです…!?」


ギムレーが飛び立った後、遅れてフレデリクが部屋に駆け込んできた。

彼の顔をチラリと見て、リズは決意したように瞳を固める。


「フレデリク…今すぐ怪我人の治療人数を増やして。無事な人は…武器の装備を確認するの」

「リズ様?」

「私が…みんなを助けるんだ」


誰に言うのでもなく、自分に言い聞かせたその声は低く重い。

彼女はただ無邪気だった頃の彼女ではない。

聖王の血族として今、立ち上がった。




(ギムレー…どういうことです)

「…ドウモコウモ、オ前タチノ信頼トヤラヲ壊シタイダケダ」

(なぜ…あなたはそこまで世界を憎むのですか)

「ニクム…?我ハ憎ンデナドオラヌ。我ハ虫ケラドモノ絶望ヲ与エルノガ快感ナノダ」

(何が…楽しいんです?)

「オ前ラが絶望シ、嘆キ、叫ブ。コンナニ面白イコトハナイ…」

(いいえ…ギムレー。竜は昔、良い心を持つものだったと言います…あなたもそうだったのでしょう?)

「ナンダト…?」

(あなたは本当に望んでいるのですか?これが本当にあなたのしたいことですか?)


Aの言葉が何かに響く。


(我ガ望ムコト…)

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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