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ページ70 屍の兵 ページ23

人はなんとも脆い。

ただ片手を上げて棘を出しただけで、すぐに粉々になってしまう。

ギムレーの目の前には、赤く染まった屍の山。

せっかくなので、力を使ってみようか。

そう思いついて、一番側に落ちてあった屍へ魔力を送ってみた。

魔力によって、人のころにあった命の動力の代わりとなる働きをする。


「…グ…アア」

「…!」


動いた。

やはり一度死んだためか、首があらぬ方向に曲がっていたりなどして気味が悪い。

が、体はしっかりとしているようで自身の得物を手に立ち上がる。

その傍らにいた馬にも魔力を送り、立たせた。

屍の兵は馬を見上げ、懐かしむような仕草をした後、乗り上げた。

まるで生きた姿そのものだ。

違うのは…屍だということと、体の不具合と、もう一つ…全身から溢れ出す赤黒い霧。


「……」


少し気になっていた。この赤黒いような…紫のような霧。

これはもしや魔力なのだろうか。

力を解放すれば、現れる。力を与えれば、現れる。

そうなのかもしれない。



なら、この霧をまとった者は…自分のモノだということだ。

…面白いではないか。



それならば、他の兵も…。

全体に降りかかるように魔力を注いだ。

一見、とても魔力を消費する行為だが、ギムレーにとっては雀の涙ほど。

元の強大な魔力に、Aの知能と戦闘力。

たかが人間に…敵う相手ではない。





それなのにどうして…人は立ち向かうのか。

次の相手は、北の国にある大国。

完全に兵たちを使いこなせるまで、イーリスはお預けだ。

いうなれば、ペレジアは前菜。フェリアはスープ。イーリスがメインといったところだ。

デザートは…全世界の破滅。

さぁ…次はスープの時間だ。


「きっ…騎馬が攻めてきたぞー!!」


見張り番の兵が喚く。

遠くから見れば、ただの騎馬兵団。

だが近くで見れば…?


「化け物だっ…!化け物だぁぁぁ!!」


…正解だ。

でも、気づいたところで助かりはしない。

勢いよく棘を振り上げて、奴らの脳天めがけて鋭く伸ばした。

貫く感触が心地いい。

しばらくして城からたくさんの兵士たちが武器を手に出てきた。

また怯えるかと思ったが、なにやら先ほどとは様子が違い、しっかりと立ち塞がる。

それは、一人の女のおかげだった。


「ビビるんじゃないよ、あんたら! フェリアの兵士ならもっと堂々としな!!」


ヴァルハルトと同じ赤の鎧をまとう女戦士…

フェリア東王フラヴィアが、そこにいた。

ページ71 女王の笑顔→←ページ69 散る赤


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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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