＜FE＞絶望の運命・覚醒編第二巻 (ページ22)

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ページ69 散る赤ページ22

あれは…なんだ？

どこを見ても騎馬…騎馬…騎馬。

先ほど邪魔をしてきた騎馬の男を思い出して、すこし腹が立つ。

ペレジアの兵は突然の襲撃に驚いて気が動転しているのか、悲鳴をあげるばかり。

悲鳴は好きだが…この声は好きじゃない。

「…虫ケラガ」

まだ所持していた剣で直接息を止めてやった。

情けない断末魔をあげて、兵は倒れる。

…つまらない。

今のギムレーに怖いものはない。

人の感覚などわかるはずもない。

「丁度イイ…壊シテヤル」

そう微笑んで、ギムレーは展望台から飛び降りた。

魔力を操作して、地面すれすれで空気のクッションを創り直撃を回避。

そして近づいてくる騎馬隊に突っ込むようにして駆け出した。

騎馬隊の前列に動揺が広がる。

女性が一人で突っ込んできたら、それは驚くしかないだろう。

仕方のないことだ。

とは言っても、それをギムレーが許すはずもない。

前列部隊は薙ぎ払われ、壊滅。

続いて二、三列目は棘で貫き…真ん中辺りの部隊はソールと同じように馬を狙った。

無論、仕留めるのも忘れない。

「何者だ…うぬは」

「…しょ、将軍！」

後列部隊を手にかけようとした時、中央から赤い鎧をまとった大男が現れる。

やはりそいつも馬乗りで、馬にも赤い甲冑が着せられている。

護衛の騎士に下がるように頼まれるが、大男は断った。

…勇気のある奴だ。まるでクロムのよう…。

クロム…？あぁ、そうかこいつらは…。

「あなたはもしや、ヴァルムの将で？」

人ではないと悟られぬようにAの声を使う。

クロムという単語が浮かんだ際、Aの記憶が流れ込んできたのだ。

『西の大陸の全てを占める…』

『危険ですね…』

大男はうむ…と深く頷く。

「我こそは、偉大なるヴァルム帝国の覇王…ヴァルハルトよ。して…うぬは何だ」

「私は…Aと申します」

「A…聞いたことのある名だな」

「あぁ、思い出さなくて結構ですよ王様」

「何だと…？」

クスクスと笑い声をあげながらギムレーは言った。

ヴァルハルトは怪訝な顔をする。

「だって…アナタモココデ消エルノデスカラ、ネ？」

「な…」

まずは…彼の仲間を。

一瞬にして赤い水飛沫が舞う。

「…何をした」

彼はさほど悲しみの色を浮かべずそう言った。

なんだ…面白みのない。

「…知ル必要ハナイ…サァ、死ネ」

身構える彼の後ろから棘て貫く。

後ろまで警戒はできなかったか…。

今、最後の赤が散った。