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ページ68 対話 ページ21

「…ッ…ナンダ…」


やめ…さ…ぎむ…。

頭の中でノイズのように響いてくる声。

ギムレーは頭を振るが、その声は次第にはっきりしてくるだけだ。

先ほどの疼きといい…自分の邪魔ばかりする。

抑えつけるより、緩めた方が楽だろうか。

ふいにそう思って、抵抗する力を抜いてみた。


__やめなさい!ギムレー!!


「…グッ…」


今度は頭を貫くような響き方。

完全に聞き取れる声になった。


(これ以上手を出したら許しません!)


強気な女の声。この声は…


「…フン。…Aカ」

(答えなさい…私に何をしたのです!)

「オ前ハ我ノ器ニナッタ。スデニ肉体ハ我ノモノダ…。中身ハイラヌ」

(ふざけないで!これは私の体です…あなたのような邪竜に囚われたくなどありません!)


頭の中で、誰にも聞こえない会話が行われる。

魂同士の会話なので、対話…のほうが正しいだろうか。

周りから見れば、ギムレーが一人話しているように見えるかもしれない。


「マダ残ッテイタカ…シブトイヤツヨ」

(あなたなどに負けるわけにはいきません)

「…ムダナコトヲ」


抵抗の力を弱めれば、Aの魂が出てくる。

強めれば、抑えつけられる。

ならばもう一度…強めるまで。


(う…あ!)

「コレデ抵抗デキマイ…Aヨ」

(こんな…ことでっ…!)

「マダ耐エルカ。…イイダロウ。オ前ハ残シテオイテヤル。ソコカラ見テイロ」

(まだ…やる気ですか!…させませんっ…)



さらに力を強める。

喉につかえたような悲鳴を最後に、Aの声は完全に途切れた。

…手間のかかる器だ。

しかし、さすがは成功例。魔力の量も質もいい。

使い勝手のいいこの体は、捨てるわけにはいかなかった。


「…サテ」


次は誰を殺してやろうか。

ギムレーの目的は、人間によって害された世界の浄化…すなわち、人類の滅亡。

もう一度、竜の世界を作り直すために…全ての人間を滅ぼす。

遥か昔、それを願った竜のように。



リズたちには、追い付こうと思えば追いつける。

祭壇から与えられた力で、屍兵…死体を操ることができるようになった。

それをイーリスの国に降らせるのだ。

さぞ、良い光景となるだろう。

転移の魔法を使おうとしたその時。


「…?」


外から兵士の叫び声が聞こえた。戦に参加しなかった見張りの兵だろう。

見つかっては騒ぎになるので、遠距離から棘で貫き命を絶たせる。

兵のいた展望台に立ち外を見てみれば…



騎馬の大群がすぐ側まで来ていた。

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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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