ページ50 伴侶 ページ3
「ちょっと来い」
「は…？」
声をかけてきた青年にいきなり手を引かれ、クロムはそこから少し離れた部屋に入る。
わけがわからないまま座らされた。
真正面に同じく座る青年と、後からぞろぞろとやってきた仲間たち。
青年の側へと座り、こちらを一斉に見る。
…気まずい…なんだこいつらは。
「…あの、何か用か？」
「………」
尋ねてみても答える気はないらしく、また思い沈黙が訪れる。
さすがに耐えきれなくなりクロムが叫びたくなったその時、ようやく青年が口を開いた。
「あんた…Aの恋人ってことだな？」
「ああ、そうだが…」
チッ…と舌を鳴らす音が聞こえた気がするが、反応しないほうがいいだろう。
「Aはいつも笑ってるか？」
「え…ああ、まぁ」
クロムが困り果てたような表情で頷くと、青年たちはいきなり大きくため息をついた。
何事かとクロムはぎょっとする。
本当になんだというんだこいつらは。
「…合格だ」
「は？」
「合格だよ、ちくしょう！！」
青年の叫びと共に、周りの奴らもつられて叫ぶ。
もう…逃げたい。これがクロムの本心だった。
「ちょっと、男たち！なにしてんの！」
割り込んできた女性たちがヒーローに見えるほど。
村の入り口で最初に出会ったその女性は、叫んでいた青年たちを一発ずつ小突いた。
殴られた箇所を抑え、青年たちは静まる。
「ごめんなさいね、お客様なのに…。この馬鹿ども、Aが取られたもんだからつい」
「馬鹿とはなんだ！俺らは仲間を思ってなぁ！」
「あんたには嫁がいるでしょうが！いい加減にA離れしなさい！」
そういうことか。
Aを幼少期から知るもの、ということはもちろんお互いに思い入れが強い。
幼馴染の結婚には動揺せざるをえないだろうな。
驚いたが、それだけAが愛されていると思うと、嫌な気はしなかった。
女性の話によると、Aは頭も冴え、誰にでも優しい人気者だったらしい。
彼女ならあり得る話だ。
「あ、そうだわ。貴方たち泊まっていけないのよね？Aから聞いたわ」
「あいにく、時間がなくてな」
「そう…なら軽く宴でも開きましょうか！」
その案に、後ろの女性たちも歓喜の声をあげる。
対して、男性陣は静かだ。
なぜなら。宴の用意は全て男性陣がしなければならないからだ。
じゃんけんで負けたから、一週間は労働係らしい。
まるでフェリアのようだと思いながら、クロムも手伝いをしようと部屋から出た。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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8
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作者名：すぃふる | 作成日時：2016年7月9日 15時
