＜FE＞絶望の運命・覚醒編第二巻 (ページ13)

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ページ60 脱出作戦ページ13

撃ったのはただのサンダーではなく、同系統の魔法のうち一番強い、トロンだった。

トロンは高位の魔法。

ファウダーにもきっと通用するだろう。

「ぐっ…！？」

光の光線がファウダーの背中に直撃した直後、脱出を開始する。

まずは、皆にかかった魔法を解かねばならない。

強大な力を持つ魔法。なら、何か魔力を増幅させる機械があるはず。

考える時間はない。

ひたすらに、魔力の波動が強い方に駆けた。

「はっ…はぁっ…ありました…！」

腕を拘束されているため走りにくく、いつもより早く息切れする。

しかしやっとそれらしきものを見つけた。

大きなクリスタル。

魔導書と同じ紫色に輝いていた。間違いない。

「…トロン！」

また、トロンを放つ。

光はクリスタルを包み込み、眩しい光を出す。

しかし…

「…あれ…なんで…」

クリスタルは全くの無傷だった。

魔力を扱う分、魔法に強いのかもしれない。

そうはいっても、使えるのは魔法のみ。

どうする。時間がないのに…！

「…いたぞ！A様だ！」

「…！！」

見つかった。

ここでまた捕まってはおしまいだ。何もかも。

あの兵が来る前に、はやく…はやく…。

「…よし」

集中力を最大限に使って、同時に三系統の魔法を生み出す。

炎属性。風属性。雷属性。

いずれも中級魔法だ。

威力で効かないのなら、数で勝負するしかない。

…いけ！

真っ直ぐに放った三つは、クリスタルの前で混ざり合い、小さくなる。

その中心に、白い光が生まれた。

…爆発する。

驚く兵たちをものともせず、その間をすり抜ける。

一刻も早くここから離れなければ。

＿＿ゴゴゴ…！

地を揺るがすような低く鈍い音。

「うっ…わああっ！」

後ろから風の勢いに背中を押され、前方に弾き飛ばされた。

視界が…黒く染まった。

頭が疼く。ガンガンと耳鳴りがする。

…頭を強く打ってしまったようだ。

視界はまだ暗いままで、音と感覚だけが少しずつ戻ってきた。

「…だ…じょぶ…か」

「…う、う…」

「大丈夫か…A？」

ようやく世界に色が戻る。

最初に見えたのは茶色い床で、その次に見えたのは…綺麗な青だった。

「クロムさん…！」

その姿に安心して、勢いよく抱きつくと、クロムも力強く抱きしめてくれた。

音を立てて、何かが床に落ちる。

奪われた剣と魔導書。

「クロムさん、これ！」

「…話は後で聞く。皆と合流するぞ！」

「はい！」

脱出作戦第二幕、スタート。