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ページ58 真実 ページ11

「離しなさいっ…!!私は王妃ですよ!あとでどうなっても…」

「えぇ、いいんですよ。だってあなたは今から…王妃ではなくなるのですから」

「ファウダー!それはどういう…」


お話しましょう…とファウダーはAを連れて祭壇の台に上がる。

巨大な竜の像が壁にはめ込まれている。

イーリス側から見れば異常な光景だ。


「あなたの母親…レイはこの教団の優秀な軍師だったのですよ」

「母が教団の…!?そんなまさか…」

「そしてあなたはレイと私の子…邪竜の血を引いた教団の崇拝対象…」


一瞬、なにを言われたのかが理解できなかった。

母は教団から逃げてと自分に伝えた。でも、母は教団の軍師。

そして行方不明だと知らされてきた自分の父親が…目の前にいる、この男だなんて。

だれが信じられようか。


「お前は代々邪竜の血を引く一族に生まれた末子。この一族には大切な役目がある」

「……」

「それは、ギムレー様の生贄になること」

「なっ…そんな!」


慌てるAに、ファウダーは続ける。


「正しくは、ギムレー様の器になること。しかし…それは困難だった。父も、私も失敗作。そしてお前こそが唯一の完成品なのだ!」

「私が…器?」

「そうだ。しかしレイはなにを思ったか、お前を連れて教団から逃亡した」


逃亡した先が、Aの過ごしたあの村だったのだろう。そうなれば、納得がいった。


「だから…殺してやったのだ。お前が成長するまでの期を待ってな」

「!!じゃあ…あの病気は!!」

「あぁ…教団に伝わる強力な呪いだ」


母を死に追いやった未知の病気。

結局正体はわからなかったが、ここで知らされるとは思いもしなかった。


「大方レイはお前が生贄になるのを恐れたのだろうが、無駄だったな」

「…許さない…。あなたを許しません、ファウダー!!」

「実の父に許さない…か。面白い。私がなぜこの姿になったのか、わかるか?…ギムレー様の器となることを強く願ったからだ」


懐かしむ様にファウダーは目を細める。


「失敗作だとは知りながら、少しでも…と儀式を繰り返した。その結果がこれだ」

「肉体が…焦げたと?」

「お前は成功作だからそんなことはない…むしろ綺麗なままであることに感謝してほしいものだ」

「馬鹿な…そんなことで感謝などするはずありません!あなたはどこまで…傲慢なのですか!」


Aの言葉にファウダーは少し眉を動かしたが、気にしない様子で像を見上げた。


「儀式を始めよう…」

ページ59 ギムレー教→←ページ57 罠


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作者名:すぃふる | 作成日時:2016年7月9日 15時

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