＜FE＞絶望の運命・覚醒編第二巻 (ページ2)

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ページ49 故郷ページ2

警護の兵と分かれて少し。

次第に村が近づいてくるのに、Aの胸の高鳴りも大きくなる。

懐かしい風景。懐かしい人たち。

早く会いたい。

「クロムさん、もう少しとばしてもらえますか？」

「…いいのか？腰を痛めても知らんぞ」

Aの身を案じ、スピードを緩めてはいたのだが、彼女はそれ以上に待ちきれないらしい。

今日はたっぷりAを甘やかすつもりだったので、抵抗はない。

馬の手綱を持ち直し、一気に駆けた。

そして。

「うう…あ、歩けません…」

「はぁ…だから言っただろう」

Aは馬に体を預けたまま、腰をさする。

結構な衝撃がきたようだった。

以前の森での出来事を思い出したから忠告してやったのに…とクロムはため息をつく。

しかしAは後悔していないらしい。

「だって早く会いたかったんですもの…」

「仕方ないな…」

Aの体を引き起こし、肩を貸してやる。

身長差があるためそうしっくりはこないが、やらないよりはずいぶんマシだろう。

馬は側の丈夫な木へ結んであるので安心だ。

いざ村の中へ入ろうと足を向けた時、目の前に誰かが立っているのが見えた。

声を聞きつけたのだろうか。

若い女性。驚いたように目を見開く。

「すまない…俺たち……は？」

「あぁ…A、本物なのね！？みんなーっ！Aが帰ってきたわよー！！」

クロムなどまるで視界に入っていないかのように、女性はAの名を叫ぶ。

その声を聞いて、建物から続々と人が集まってきた。老若男女、子供までいる。

その中で、一番歳をとっているであろう老人が一人、前へ進み出てきた。

その顔を見て、Aが声をあげる。

「村長！」

「Aか…？」

いつの間にか目に大量の涙を浮かべ、何度も何度も頷くA。

「そうかそうか…待っていたよ、ずっと」

「はい…！！ただいま帰りました…！」

Aが老人に駆け寄っていく姿を、クロムは優しい目で見送っていた。

ここからは見えないが、今きっと顔は涙で覆われているのだろう。

それだけ感動の再開なのだ。

今日は村の手伝いでもしようかなどと考える。

Aには故郷を堪能してもらいたい。

少しでも癒されてほしかった。

「あんたは、Aのなんだ？」

いきなり横から尋ねられ、クロムは戸惑うが、迷わず答える。

「Aは俺の伴侶だが…」

「伴侶ぉっ！！？」

大きすぎる反応に、クロムは少し後悔する。

言わなかった方が良かったかもしれない。