契約破棄 ページ25
許さない。
僕から離れようとするなんて、この理想郷を壊そうとするなんて、いくらヌナでも許さない。
ヌナは僕に甘いから、どうしたら離れられなくなるのかは簡単に分かった。とことん甘えてやればいい。そうしたら絶対に彼女は僕のお願いを聞いてくれるから。
「グク、とりあえず離れて、私爆発するっ」
「それってどういう意味ですか? ちゃんと言って、ヌナ」
潤んだ瞳が僕を見上げる。
火照った頬と、少し震える体。可愛くて愛おしい、僕だけのヌナ。
自分でも驚くほどにのめり込んでいた。久しぶりに会えて嬉しくて、今日で落としてやろうと実は目論んでいた。
それなのに僕を突き放そうとするから、抑えが効かなくなった。
そこで気づいたのだ。彼女の前で感情を抑えていたら、気づかないうちに逃げられる、と。
「グクがかっこよすぎて、倒れそう」
「それだけ?」
「それだけ、って」
「僕はヌナのことが好きです。もう一回キスしたいです」
「っな、にを、」
「ヌナは? 僕のこと好き?」
顔をわざと覗き込むと隠そうとするから、細腕をきゅっと掴んでやった。
軽い力なのに、それだけで身動きが取れなくなってしまう。か弱くて可愛いAヌナ。
「すき」
小さく震えた声が、望んでいた言葉をくれた。
「もう一回」
「グクってそんな意地悪だったの?」
「うん。だっていじめたらヌナが可愛いから」
「なにそれ……」
もう一度今度は優しく抱きしめると、お互いの心音が聞こえてきて嬉しくなった。こうして触れることを望んでいたのだと、自分で自分の欲求に気がつく。
ぬくもりさえ優しいから、ヌナは優しさでできているのだと思う。
「もう予約待たなくていいんだ、僕やっとヌナにご飯奢ってもいいんだ。ふふ、ねえ、明日も会えますか?」
「まってかわいすぎる」
「ヌナはやっぱり可愛い僕の方がいい?」
「グクならなんでもいい、どんなグクも好き」
そんなヌナの方が僕よりずっとかわいい。
「グクのこと、教えてくれる?」
僕たちはもう、契約の時間を過ごすことはない。
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ちよ(プロフ) - ゆりかごさん» 更新や新作頑張っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします……!ありがとうございます! (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - nyarさん» 幸せを感じていただけたら嬉しいです! グクとの海のデートはソロの日本語訳を参照にしながら執筆いたしました! 多幸感もテーマの一つです( ˘ω˘ ) (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 兎餅さん» 泣!?!? ありがとうございます! お返事遅れてしまって申し訳ないです! ありがとうございます! (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆりかご - もうすごく感動しました( ´;゚;∀;゚;)これからも応援するので頑張ってくださいo(*≧∀≦)ノ (2019年7月29日 14時) (レス) id: 49ff43ec91 (このIDを非表示/違反報告)
nyar(プロフ) - はじめまして!かなりハマったしかなりときめきました!最後から3ページくらいからもう幸せすぎてヤバかったwこんな素敵なお話、ありがとうございます!あなたの他の作品も今から見に行きます^_^ (2019年5月22日 23時) (レス) id: 5ee86f0a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年4月28日 16時