弟レンタルしました。【JK】

今更気づいた気持ち ページ20

「ラーメンでも食べる？」
「僕ラーメン大好き」

今日はグクから「大好き」という言葉をたくさん聞けて嬉しい。
最後だけど、グクの好きなものがたくさん知ることができて、それだけで心は満たされていく。


どうせなら有名なところに、と携帯で調べていると、ぐっと肩を抱かれてグクに引き寄せられた。

びっくりして見上げると、微笑んで「自転車来てたから」と言われてどきりとした。

笑顔は変わらないはずなのに、いつもより大人っぽく感じて、かっこいい彼だったから。


「ありがとう」
「どういたしまして。注意力欠けちゃうくらい僕との時間のこと考えてくれてたんでしょう？」
「う、うん」
「ふふ、かわいい」


ずきゅ、と胸が射抜かれる。
急にグクがかわいい弟に思えなくなって、心臓がうるさく鳴っていた。これがもしかして「かっこいいグク」なのだろうか。


市内に戻ろうと、地下鉄に乗ることにした時も、ドキドキは少しも収まらなくて。変な気持ちになるなと思っていると、そっと手に触れられてビクついてしまった。


「ヌナここ、持っておかないと揺れちゃうよ」
「う、うん、そうだね、ごめん」
「なんで謝るの。僕の腕でもいいけど、どっちにする？」
「ここ。ここでいいよ、ありがとう」


支えになる棒につかまると、そう？ と少しだけ不満そうな顔をするものだから、余計に何か勘繰りそうになる。

気を紛らわせるために、さっき海で撮ったグクの写真をホーム画面とロック画面に設定することにした。

すると、グクが気になったのかずいっと寄ってきて、一気に近くなった距離に携帯を落としそうになった。


「ホーム画面とロック画面、グクの写真にしてもいい？」
「うん、でもどうせなら二人の写真にしようよ。さっき撮ったやつ」
「これ、とか？」
「うん、そのヌナかわいいから好き」


唐突な「かわいい」と「好き」に、ぎゅんとこみ上げてきた熱であつくなりながら、頷いてグクが選んだ写真を設定した。



だめだ、私、完全にグクのことが好きになってる。

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