誰にも埋められない ページ13
ピンポーン、と来客を告げるチャイムが鳴る。
ガチャリとドアを開けると、がさっと手に飲み物やら食べ物やらを持ったジミンが立っていた。
「明日も休みだし、お酒にしようかと思ったけど昨日飲みすぎたからジュースね」
ふにゃりと笑う。
その笑顔を見て、いい友達を持ったなあと感動した。
適当につまむ物を作っている間、ジミンがローテーブルに飲み物を置いてくれる。家に人がいるのは本当に温かい。
「来てくれてありがとう」
「どういたしまして」
クッションと一緒に座って、ちびちびジュースを飲みながらつまみに箸を伸ばす。
少しの沈黙の後。ぱちりとジミンと目があって、それが合図になって彼が口を開いた。
「なんかあった?」
「……なんか、んんー。……今日ね、弟が遅れてきて。事故の時のこと思い出しちゃって、焦ってさ。一人でいるの、寂しくて。それだけ」
「……弟くん、大丈夫だったの」
「うん、電車が遅れただけだった。でも私泣いちゃってさ。あの子は何か察したのかわかんないけど、大丈夫、僕はちゃんといるよって言ってくれて」
涙腺が弱い日なのだろう。
いつもはそんなに泣くことはないのに、今日だけはよく泣いた。上手く話せなくて、話そうとすればするほど喉の奥が狭まって。
ジミンの手が背中をさすってくれて、余計胸が詰まった。
「A」
背からジミンのぬくもりが伝わる。
グクと、ほんの少しだけ似ているぬくもりだった。
「僕もホソクヒョンもいる。僕たちは迷惑だなんて思わないから。……その子との時間を、僕たちは埋められない?」
「ごめん、」
「……うん、そっか」
グクとの時間は特別だった。優しさが染み渡って、たぷたぷと心のコップが彼のぬくもりで満たされる。
それが私だけ感じていることなのが、悲しい。彼も同じように感じればいいのに。
ずっとずっと離れないのだ。ふとした時に記憶の中の彼が呼ぶのだ。
「ヌナ」
そう、笑って。
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ちよ(プロフ) - ゆりかごさん» 更新や新作頑張っていきますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします……!ありがとうございます! (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - nyarさん» 幸せを感じていただけたら嬉しいです! グクとの海のデートはソロの日本語訳を参照にしながら執筆いたしました! 多幸感もテーマの一つです( ˘ω˘ ) (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 兎餅さん» 泣!?!? ありがとうございます! お返事遅れてしまって申し訳ないです! ありがとうございます! (2019年8月25日 17時) (レス) id: 5b52149a5f (このIDを非表示/違反報告)
ゆりかご - もうすごく感動しました( ´;゚;∀;゚;)これからも応援するので頑張ってくださいo(*≧∀≦)ノ (2019年7月29日 14時) (レス) id: 49ff43ec91 (このIDを非表示/違反報告)
nyar(プロフ) - はじめまして!かなりハマったしかなりときめきました!最後から3ページくらいからもう幸せすぎてヤバかったwこんな素敵なお話、ありがとうございます!あなたの他の作品も今から見に行きます^_^ (2019年5月22日 23時) (レス) id: 5ee86f0a2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年4月28日 16時