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「ヒョン! 早く!」
「分かってる!」
テヒョンにグッと腕を引かれて乗り込んだのは移動用の車。
最近仕事が立て込んでいて、駆け足での移動ばかりだ。
次はラジオ出演か、と思いながら外を見ていると、所々見かける俺たちの顔。
そういえば、こんなにメディアにも出ていて、街中にもポスターが貼られているのに気づかないものなのか。
「日本人から見たら韓国人は全員同じ顔に見えるっていうけどさ」
ふと思い出してそう呟くと、メンバーは首を傾げながらも「うん」と相槌を打った。
「かなりの回数俺と会ってるのに、芸能人だって気づかないって相当鈍感だよな」
勉強ばかりしていてテレビもまともに見ていないのだろうかと思ってしまう。
「え……ちょっと待ってユンギ、俺そんな話聞いたことないよ。なになに、彼女?」
「違いますよ。連絡先も知らないような子です。時々公園で会う。ジョングクの1つ下の日本人留学生の女の子です」
何気なく呟いたつもりが、みんなこっちを見てくるのだから調子が狂う。
なんだ、どうしたらいいんだ。
人をいじるのは慣れているけど、いじられるのは慣れていないのに。
「へえー! いいね、それでそれで? その子はユンギのこと知らないんだ?」
「名前は言いましたよ。でもそれだけです。全然気づきやしない」
「ユンギヒョンは気づいてほしいんですか?」
ジミナがそう言って、何か言おうとして小さく開いた口はそのまま動かなかった。
頭に何もないまま、声を出そうとして。
到着を告げる声と揺れた車に、口を閉じてしまった。
気づかれた時、俺はどうするのだろう。
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apricot384(プロフ) - とても楽しく拝見しました!何度も読み返しました!また続きがあれば嬉しいです!最終の更新から随分経ってますがまた機会がありましたらよろしくお願いします! (2023年2月12日 17時) (レス) id: 5c0405314d (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あや*˚さん» はじめまして! 作品を読んで幸せな気持ちになっていただけるのが本当に嬉しいです( ; ; )! これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あや*˚(プロフ) - はじめまして。このお話大好きです。何度も読み返しては幸せな気持ちになりました。これからも楽しみにしています。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: e2075205c1 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ぽちさん» こんばんは! 番外編まで読んでいただきありがとうございます! 本編とは少し時間が空いてしまったのですが楽しくかけたので楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年8月30日 0時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - こんばんは☆すごく大好きなお話で、定期的に何度か読み返させていただいてます^ ^番外編では、砂糖なユンギさんと、少し肉食系なユンギさんを見ることができて楽しかったです/// (2019年8月30日 0時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2018年3月14日 22時