6 ページ6
たいした話はしていないし、面白くもなんともないことしか喋っていない。
そんな俺の話を、飽きもせずよく聞くものだと思う。
留学生の彼女は、こちらに来て新鮮だったことや、学校であった面白かったことを話してくれるようになった。
他人との距離感を掴むのが抜群に上手い子なのか、隣にいるのに全く気づかれしない。
「ホストファミリーには言ってるのか、あそこに行ってること」
「内緒です。いつもそーっと家を出るんです」
「それはダメだろ」
ベンチでは一度もなかった距離感に心地よさを感じる。
近しい人でない、それも異性と、服が擦れるくらいの距離でいるのに疲れないのは不思議だった。
サラサラと音がなりそうなくらい綺麗な髪が隣で揺れる。
あまり染めたりしていないのであろうそれに誘惑されそうになる。
「夜の静かな小道が好きなんです。日本でも韓国でも」
「ああ、わかる。昼と同じ道なのに、違う道に見えたりして」
「パラレルワールドみたいな!」
ぱあっと明るい笑顔を向けて来た時にまた髪が揺れて、無意識に指で梳いてしまった。
はらはらと指の間から落ちる髪は、やわい。
「ユ、ユンギさん?」
「うん?」
「あ、や、どうしたのかなーって」
「髪、綺麗だと思って」
「ありがとうございます……?」
出会ってからはじめて。
はじめて、俺がSUGAだと知ればいいのにと思った。
SUGAとしての俺を知らないAは、彼女に宛てた歌を作ったとしても自然と聞くことはないだろうから。
ペンじゃないAの隣が居心地良かったくせに、今更ペンになってほしいなんて思うのは俺らしくないのに。
935人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
apricot384(プロフ) - とても楽しく拝見しました!何度も読み返しました!また続きがあれば嬉しいです!最終の更新から随分経ってますがまた機会がありましたらよろしくお願いします! (2023年2月12日 17時) (レス) id: 5c0405314d (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あや*˚さん» はじめまして! 作品を読んで幸せな気持ちになっていただけるのが本当に嬉しいです( ; ; )! これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あや*˚(プロフ) - はじめまして。このお話大好きです。何度も読み返しては幸せな気持ちになりました。これからも楽しみにしています。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: e2075205c1 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ぽちさん» こんばんは! 番外編まで読んでいただきありがとうございます! 本編とは少し時間が空いてしまったのですが楽しくかけたので楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年8月30日 0時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - こんばんは☆すごく大好きなお話で、定期的に何度か読み返させていただいてます^ ^番外編では、砂糖なユンギさんと、少し肉食系なユンギさんを見ることができて楽しかったです/// (2019年8月30日 0時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちよ | 作成日時:2018年3月14日 22時