検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:329,712 hit

1 ページ1

「んー、きもちいー」


ぎしっと木でできたベンチに腰をかける。
留学先の韓国で見つけたお気に入りの公園。

ホームステイ先の家からも近くて、少し小高い丘の上にあって静かで。


韓国に初めてきたころ、慣れない異国で不安になったときに見つけたここは、私にとって大切な場所になっていた。


「え」


夜の空気の中で響いた低い声にビクついた。

明らかに男の人の声で、とりあえずおそるおそる振り返ってみる。


ホワイトカラーの髪の毛が、闇の中で際立っていて。
その人の服装が真っ黒だったから、余計髪が透き通って見えた。


きれいなひと、


ぺこ、と軽く会釈をして、携帯を手にした。
もしかしてあの人もここがお気に入りなのかなと思っていると、ベンチが揺れた。

理解するのにワンテンポ、横を見ると彼がいた。


「えっ」


素っ頓狂な声が出たが、それを気にしている暇はない。
実は危ない人なのだろうか。韓国人は頻繁に髪を染めるからあまり気にしてなかったけれど、もしかしてヤンキーとか。


「あの」


韓国語だ、と緊張してしまう。
話せるっちゃ話せるけれど、未だに慣れない。


「危ないですよ、こんな時間に」

「あー、家近いので」

「近くても、気をつけたほうがいいと思いますよ」


親切なお兄さんだなあと思いながらも、何と返せばいいのかわからない。
まあ、いいか。このままで。


「ありがとうございます」


人一人分空いたところに、全然知らない男の人が座っている。
そんなよくわからない状況なのに、一期一会ってこういうのなのかなあと呑気なことを思っていた。


「それじゃあ、ごゆっくり」

「……気をつけて」


帰り際に上を見上げた星空。
ちらりと彼を見ると、同じように空を見ていて。


また会えたらいいなと思いながら家に帰った。

2→



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (514 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
935人がお気に入り
設定タグ:BTS , ユンギ , SUGA
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

apricot384(プロフ) - とても楽しく拝見しました!何度も読み返しました!また続きがあれば嬉しいです!最終の更新から随分経ってますがまた機会がありましたらよろしくお願いします! (2023年2月12日 17時) (レス) id: 5c0405314d (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あや*˚さん» はじめまして! 作品を読んで幸せな気持ちになっていただけるのが本当に嬉しいです( ; ; )! これからも頑張りますのでよろしくお願いいたします! (2019年8月31日 19時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あや*˚(プロフ) - はじめまして。このお話大好きです。何度も読み返しては幸せな気持ちになりました。これからも楽しみにしています。 (2019年8月30日 9時) (レス) id: e2075205c1 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ぽちさん» こんばんは! 番外編まで読んでいただきありがとうございます! 本編とは少し時間が空いてしまったのですが楽しくかけたので楽しんでいただけて嬉しいです! (2019年8月30日 0時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ぽち(プロフ) - こんばんは☆すごく大好きなお話で、定期的に何度か読み返させていただいてます^ ^番外編では、砂糖なユンギさんと、少し肉食系なユンギさんを見ることができて楽しかったです/// (2019年8月30日 0時) (レス) id: 8ba320eacd (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:ちよ | 作成日時:2018年3月14日 22時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。