私のヘアメイクさん【JK】

三つ編みのその次 ページ9

「ヌナ！ 体調大丈夫ですか？」


楽屋で発注しなければいけない化粧品や備品をチェックしていると、バターンっと勢いよく扉があいて大きなウサギが飛び出してきた。

タタタッと跳ねてきて、心配そうに眉尻を下げて口をぽやりとあける。

「ヌナ？」と首を傾げたジョングクを見て、昨日のイライラを引きずっていたのがバカバカしく思えてきた。そのくらいジョングクが最高にかわいい。


「うん、大丈夫だよ。ピンピンしてる」
「よかった、ヌナってほぼ毎日いるから、いなかったらすごく違和感感じました」


さびしかったです、としょぼんとしたジョングクの可愛さと言ったら。
私の貧弱な語彙では表しきれないものがある。

そうだ、私には頑張り屋さんで素敵なアイドルたちがいるじゃないか。人として尊敬できる人たちが仕事仲間なのだ。

あんなやつのことを考えるくらいなら、彼らのことを考える時間のほうが有意義だろう。


「お！ A復活〜？」


後ろからホソクの声が聞こえて振り返ると、前髪に三つ編みが施されていて吹き出してしまった。ジョングクにやられたんだろう。


「ははっ！ さすがJ-HOPE、三つ編みもポップで似合うね！」
「やー、笑いすぎ！」


ぽんぽんと三つ編みに軽く触れると、私の手をつかんでホソクもわざとらしく拗ねた顔をした後に笑った。


「俺ヌナに教えてもらったから編み込みとかできるんだよな〜」
「わ！ ちょっとホソガ！」
「いいじゃんまだ時間あるし」


するっとゴムを外されて、鼻歌まじりに彼は私の左側の髪を編み込みし始めた。

お姉さんがいる子はやはり違う、ホソクだし確かに仕込まれてそうだなと思ってされるがままになっていると、じっと見ていたジョングクが「編み込み、」と呟いた。


「僕も編み込みする！」


左にホソク、右にジョングク。チョン兄弟に髪をいじられるだなんて。


「軽く三つ編みした後、周りの毛を少しずつとって編み込んでくんだよ」
「少しずつ……」
「グギそれだと取りすぎ」


聞こえてくる会話が可愛くて癒されていると、次々にオンニやメンバーが入ってきて、異様な光景をおかしそうに見ていた。

少し経って出来上がった編み込みは、ホソクは予想どおりとても綺麗で、ジョングクは初めてということもあり編み目が少し不規則だった。


「次は編み込みか……」
とジョングクが呟いた瞬間、メンバーも「編み込みか……」と苦笑いを浮かべた。

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