私のヘアメイクさん【JK】

目を閉じたまま ページ6

「目を……つぶらなくていいのか」
「リップだからね……」
「ヌナってなんでリップ縦に塗るんですか？」
「唇の線って縦でしょ？ だから、保湿だと特に効果持たせたかったらそうやって塗るのがいいの」
「Aヌナは物知りですね」


キラキラとした目を向けられると眩しくてクラクラする。
たぶんナムジュンあたりだったら知ってると思うな、と思いながらも口元にグクの手があるから言えなかった。

立ったまま、背の高いジョングクを少し見上げる形だ。顔はなんとか彼の方に向けているけれど、視線は泳ぐ泳ぐ。白目むきそうだ。


「失礼します」


ひたりとリップの先が当たって、ひんやりしていてびくりとしてしまった。

目を瞑ってしまっていると、「瞑らなくていいのに」とかすかに笑い声の混じった優しい声が聞こえてきてときめきすぎて死にそうになる。

仕事仲間の私がこうなのだからarmyだったら本当にショック死してしまいそうだ。いや、絶対する。

はみ出さないようにか、慎重に塗られていく。ただの保湿ようなんだから気にしなくていいのに。

うっすら目を開けると、真剣な顔のジョングクが視界に入ってきて、慌てて目を閉じた。


「できた！ 保湿できてますか？」
「うん、できてるできてる」


いやあんま分かんないけど、と思いながらも馴染ませるために唇を「んっ」と結ぶと、何故かジョングクも同じように口を結んだ。

なんでも真似しちゃうの……めちゃくちゃマンネじゃんか……かわいい……。


「僕次グラデリップしたいです。教えてください」

「ああ、それは色の薄いのをベースにするときは濃いのをかさねぬりするんだけど、中央にだけ塗って、外側にかけて薄くなるように馴染ませるの」

「ヌナはどんな色でも似合いそうですね」

「オレンジは似合わないんだよね。……いや今日はもうおしまいね？ 私今からユンギさんの準備あるから」



キョロキョロとリップを探すジョングクを止めると、また頬を膨らますものだから笑ってしまった。

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