少しでも力になれたらな ページ13
「お、A〜。今日オフじゃなかった?」
「うん。一応午後休。朝は衣装さんとかと話してて」
事務所の休憩のところでホソクと顔を合わせた。練習終わりなのか腕まくりをしていて、水を飲んだ時綺麗な喉仏が上下した。
「おつかれ」
「ありがと。……歌謡祭がすぐだから練習しとかないと不安になるんだよな」
近くの小さな椅子に腰を下ろすと、座ったままホソクが私を見上げた。優しい瞳だ。あたたかくて穏やかな、彼らしい目。
服の袖をつままれてくっと引かれたから一歩彼に近づくと、「隣座ってよ」と甘く微笑まれてしまった。
すとんと座ると、流れるようにゴムを取られた。
「ちょ、」
「編み込みでハーフアップとかかわいいと思うんだよね」
すいすいと編んでいくホソクは私に「ここ持ってて」と指示したりして、好き勝手触れていく。昨日変に話題に上がったから何だか緊張するな。
「ジョングクがAの髪触りたがるの分かる」
「え?」
「すごい綺麗だから。気持ちいい」
耳元の髪を指ですくう時に、耳に彼の体温が触れてびくっと動いてしまった。
変な空気になったらどうしよう、と思ってちらりとホソクの方を見ると、「ごめんごめん」と軽く笑ってくれた。
この時間は一体何なんだろうと不思議に感じながらも、気まずさはなかった。相手がホソクだからだろう。
「髪巻いたらもっとかわいい」
編み込んだ両側の束をゴムで一つにして、ふんわりと宙に浮かせて指を髪に通した。
ホソクは「かわいい」とよく口にする。綺麗も、かっこいいも。人の変化によく気がつくから、人が喜ぶ言葉をすぐに与えてくれる。
「……さっき調子悪くてさ」
「うん、」
「気を紛らわせたくて。急に触ってごめんな」
素直にそういうことを口にするホソクは貴重だ。だから、そういう時にちゃんと向き合わないと、この人はもっと自分を隠してしまうのだと思う。
「癒し効果あった?」
「うん、超効果的」
「ふふ、ホソクのパフォーマンスかっこいいんだろうな」
「どうだろ」
「私、後押しできるようなヘアメイク考えとく」
「お、それは楽しみ」
にーっと笑顔を浮かべて、私の頭に軽く触れると「ありがと」と私の好きな温かい目をして手を振った。
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めぐみ(プロフ) - はぁ………とため息が出るほど、ちょっと目の奥が熱くなるような感覚を知るほどに素敵な作品でした、ありがとうございます(;;)みんなすごく心が優しくて、読んでいて私も優しい気持ちになりました。もし番外編など、浮かびましたらその時をまた楽しみにしています! (2022年3月15日 19時) (レス) @page43 id: 70e57b3fd4 (このIDを非表示/違反報告)
mii(プロフ) - 好きー (2021年8月18日 8時) (レス) id: d47eb74ff4 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - ひろさん» ありがとうございます! ラストはしりすぎたかな? とちょっと心配だったのでホッとしました( ˘ω˘ ) 続編は今のところ考えてないです( ; ; )すみません( ; ; ) 何か浮かべば番外編を書くかもなあというくらいで……コメントありがとうございました! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - じゅりさん» ありがとうございます! 私自身続編系???となってましたがなんとかおさまりまして……笑 次の作品はかわいい控えめかもしれませんが、がんばります! (2019年12月19日 23時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
ひろ(プロフ) - ラストの展開、キュンキュンしながら読ませていただきました!面白かったです!続編楽しみに待ってますね! (2019年12月19日 18時) (レス) id: 099739feed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年12月8日 16時