大切な人を失わないために ページ6
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恋ってなんだ、愛ってなんだ。
まだ子供の私にはわからないけれど、テヒョンさんに対して好きだとかそういう言葉はまだ思い浮かばなかった。いずれ浮き出てくるかもしれないけれど、今は懐いている、という表現の方が正しいと思う。
懐いていて、恩人で、勝手に彼のものになっているような。
友達だっているけれど、縋り付くような人はいない。要はそういうこと、だ。
「A、今日一緒に帰ろ」
「……え、なんで? グク部活じゃないの?」
「今日はオフだから。……あと一緒にゲームしよ」
スクールバッグの持ち手をつかんだまま、丸い頭が少し俯いた。
自惚れでもなんでもなく、きっとグクは昔と同じ距離で私といたいんだと思う。私だってグクのことが嫌いなわけではないし、昔はよく遊んだのだから仲良くだってしたいけれど。
周りはそれを許さない。ジョングクはそんなこと気にしないといった風だけど──……
あ、違う。もうやめなきゃ。周りばかり気にして優等生になろうとすること。
周りに迷惑がかからないのなら、私がしたいようにすればいいのだ。私が我慢する必要なんてどこにもない。
そうでもしなければ、私は大切な幼なじみを失うことになる。先生を失ったみたいに。
「うん、したい」
「え? いいの?」
「うん。ごめん、今まで冷たくて」
綺麗な瞳がきらりと光った。
今まであんなに苦手だったのは、真っ直ぐ向けられる視線が怖かったからだけど、多分そうじゃなくて、彼の瞳に弱い自分が映るのが嫌だったんだと思う。
グクは強い人だから。
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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時