違う背中 ページ26
「帰り、送ってくよ。バイク……はないから徒歩だけど」
「あー、じゃあ俺の後ろ乗る? ジニヒョンも自転車だし」
ユンギさんはのそりと立ち上がると、私の腕を軽く引いた。ナムジュンさんにわざわざ外に出てもらうのも申し訳ないし、だったらとユンギさんに「お願いします」と頭を下げた。
「ん、」
「わ、ありがとうございます」
ぼすりとヘルメットをかぶせてもらって、顎の部分でカチリと止める。そのあとユンギさんは自分のヘルメットをかぶってバイクに跨った。
きっとよく人を載せてるのだろう。準備がいい。
「失礼します……」
「おー。ちゃんと掴まれよ」
細い、けれど少しかたいお腹に手をまわさせてもらって、それを確認してユンギさんはエンジンをかけた。
テヒョンさんと違う匂い、感覚、雰囲気。テヒョンさんに連れて行ってもらったところを思い出したりもして、切ない気持ちになる。
「……またテヒョンにも会ってやって」
「え、?」
どういうことですか、と反射で聞きそうになったが、走り出してしまっては声が届かない。それを見越して声をかけたのだろうか。なんだかずるい人だなあ。
会ってやって、って、テヒョンさんも私に会いたいと思ってくれているのだろうか。そうだと嬉しい。そう思いたい。
無意識に手に力が入ると、ユンギさんが笑ったような気がした。
.
「ここでいい?」
「はい、ありがとうございました」
ヘルメットの上から頭をぽん、とされて、ぐわんと揺れてしまうと「ごめんごめん」と微笑まれた。ユンギさんの笑顔は甘い。テヒョンさんの周りの人は、みんなギャップがすごい。
「試験、頑張れよ」
「はい。いい点とりますね」
「ん。それでまた遊ぼうな」
「っ、はい!」
「いい返事」
人の内側に入る、というのは怖くもあるけれど嬉しいことでもある。また遊ぼう、という言葉がユンギさんから発せられたことは、私にとってとても大きなことだった。
「じゃあ」と手をひらりと振って、ユンギさんは帰っていく。ざわ、とふいた風に身震いして、私も家に帰った。
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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時