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掬い上げてくれたひと ページ3

安い赤リップで背伸びして、無料の違法音楽アプリで洋楽を流してイマドキの女子高生の姿を真似してみる。

早く大人になりたいけれど、生きているだけで価値があるこの立場にまだ縋り付いていたい気もする。

ローファーが制服の一部ではなくなるその時が、なんとなく怖くて寂しい。

コッと石を蹴って校門を出ようとしたら、女子が群がっているのが目に入ってきた。ミーハーな私はすぐにその団体に興味が湧いてゆっくりとその塊に足を向けた。


「お、Aちゃんやっときたー」


に、と歯を見せて幼く笑う男の人は、幻のように綺麗で。昨夜のことを、おとぎばなしのお姫様みたいに思い出して胸がキュッとなった。


「テヒョンさん、」
「うん。おかえりー」
「ただいま、です」


シルバーのブレスレットが重なっているのと、綺麗な指輪もついている大きな手が私の頭を撫でた。

この人の彼女だったかな、と錯覚しそうになる。それくらい人の心にするりと入ってしまう。ミステリアスでクールな見た目なのにふわりとどこか柔らかいのは、そういう性格の部分なのだろう。

周りの女子のひそやかな声が聞こえるけれど、どうでもよかった。どうせ私を僻んでる。そんな声は気にしなくていい。


「遊びに行こ」


ひょいと渡されたヘルメットをボーッと見ていると、後ろの部分をポンポンと叩いて「乗りな」と声をかけてくれる。

ただのイケメンのただの気紛れかもしれない。

それでも私は昨日テヒョンさんに言われた「悪い子になる?」という誘いに死ぬほど救われて、心が楽になって息をしやすくなって。


この人のことをなんにも知らないのに、心を救ってくれたというひとつの理由だけで命の恩人のように感じるのだ。


……いや、事実そうだと思う。

私にとってテヒョンさんは、私の心を掬いあげてくれた命の恩人だったのだ。


「テヒョンさん、私、夜景が見たい」
「いいよ。でもちょっと早いからゲーセンで時間潰そっか」
「はい」


あたたいお腹に手を回すと「ちゃんとつかまって」と決まり文句ともに手をぐっと握られて彼の体に密着する。それだけで心臓が跳ねてしまう。多分テヒョンさんはきっとこんなこと慣れっこなのに。



「しゅっぱーつ」



どさくさに紛れて、また彼の体を抱きしめた。

星の中、空気を切る→←私は悪い子になりたかった



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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時

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