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秋の海は切ない ページ20

グクの言葉が何度も頭の中で繰り返される。とても簡単な言葉なのに、どうしても理解が追いつかなくて、脳のキャパシティが耐えきれなかった。


「Aがヒョンと出会った次の日、俺、学校で『昨日の晩、どこ行ってた?』て聞いたので、覚えてる?」
「……うん、覚えてる」
「あの晩、俺Aの家に行ったんだ。ふられたところ、見ちゃって」


確かにあの晩、どうして出かけたことが分かるのだ。グクは私の家に来て、そこで私が出かけたことを聞いたのだろう。そうすれば辻褄が合う。

今更その矛盾に気がついてしまった。


「その前からも見かけてたよ、2人のこと。先生に『遊びなんじゃないんですか』って言いに行ったこともある」
「そ、そんなことしたの?」
「うん。ごめん。……女好きって噂があったから」


もう終わったことだ。私が胸を痛めることはないのに、改めて「遊びだった」と突き付けられるのは少し苦しかった。

握っていた手に力が入ったからか、グクはもう一度「ごめん」と呟いた。


「……Aを助けるのは俺がよかった」


今度はグクの手に力が入って、ひゅぅっと冷たい風が吹いた瞬間少し空いていた肩の距離がゼロになった。じんわりと伝わる体温があたたかい。

目が合うだけで電流が体に走る。何が起こるかは分からないけれど、何かが変わることを予期した。


「先生の呪縛から解いてやるのも、そばにいるのも俺で。……とか思ってたのに、ヒョンに掻っ攫われちゃった」


ふふ、と小さく笑い声がもれて、肩も小さく揺れた。


「A」


甘くかすれた声に名前を呼ばれて、微かに震えてしまった。
こんな風にグクに名前を呼ばれるのは初めてだったから。


「もしあの晩、ヒョンじゃなくて俺がAのそばにいたら、何かが少しでも変わってた?」


その何かも、変わるものも、何となくわかる気がする。けれどもグクは曖昧にしてしまって、あえて言う気がないのだろうなと察した。


「……わからない。実際にそばにいたのは……テヒョンさん、だから」


今度は私が「ごめん」と呟いて、「そうだね」とグクは笑った。




ああ、秋の海は、何だか切ない。

小さなわがまま→←ああ、見透かされていた



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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時

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