あのキスは人工呼吸だった ページ9
一キロのチーズの乗った、カロリー爆弾もといチーズピザを、ベンチに広げる。
連れてこられた場所は夜景を見に来たところで、暖かいピザがより美味しく感じる。
みんなで円になっているけれど、大半が知らない顔。みんながみんな整った容姿で、類は友を呼ぶのだなあと思った。
「遠慮せずいっぱい食べてね」
ふんにゃりと柔らかい笑みを浮かべてくれるのはジミンさん。テヒョンさんの親友。
人見知りのジョングクが「かっこいい」とすぐに懐いてしまったのは頭のいいナムジュンさん。クールだけど飲み物を買ってくれたりと優しいユンギさん。
お手製のキンパを作ってくれたらしいソクジンさん。すぐに仲良くなれた明るいホソクさん。
テヒョンさんの大切な人たちは、みんな素敵な人だった。
「若いうちにね、色んなことを経験しとくの」
ジミンさんはそう言うとぱくりとピザを口に含んで、チーズをみょいんと伸ばした。
「大人になると興味があること自体が減っていくし、やりたいと思うことを素直にやれなくなる。ま、僕たちは結構好き勝手してるけどね」
「そうそう! 勉強も大事だけど、実際に感じることとか経験することはまた違った価値があるから」
人に迷惑かけなかったら大体大丈夫、とホソクさんが笑うと、ナムジュンさんは「大雑把だな」と苦笑いした。
先生を好きになったのは、この人になら縋り付いても大丈夫だと思ったからだ。
弱音を吐いていい、愚痴を言ってもいい、それでも優しくしてくれる、そう思ったから。先生は受け止めてはくれたけれど、私に何かを与えてくれたわけではなかった。
テヒョンさんたちは違う。
どうしてこの人といると、安心と同時に輝きも感じるのだろうとずっと不思議に思っていた。
テヒョンさんは、私に与えてくれるのだ。それは新しい考え方だったり、言葉だったり、道だったり。
「みんなと連絡先交換しておこうよ! もう仲良しでしょ、俺たち」
テヒョンさん、あなたはきっと、あなたの言葉でどれだけ私が救われているのかを知らない。いつか、きちんと言いたい。
テヒョンさんと出会っていなかったら、私はあの海の中に身を投げていた可能性だってあったかもしれない。
希望さえ見出せず、暗い恋の中に沈んで溺死していたかもしれない。
息を吹き込んでくれたのは、テヒョンさんなのだ。
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ちよ(プロフ) - mochiさん» お返事遅れてすみません!テヒョンさんの不思議な魅力はいつまでも青く綺麗なのだろうなと思って書きました。細々とですが執筆は続けたいです( ˘ω˘ )ありがとうございました! (2021年3月31日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
mochi(プロフ) - 今更ながらちよさんの小説を見つけ、読ませていただきました。私もこんな青春時代を過ごせる仲間が欲しかったなぁって思いましたし、テヒョンのかっこよさが私の心をキュンキュンさせてくれました。これからも素敵なお話書き続けて欲しいです。終わってさみしい。 (2020年11月15日 20時) (レス) id: 7aaaff3998 (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - あきさん» 尊い高校生の青春の日々は大事にしたいなあとしみじみと思いますね……( ˘ω˘ ) (2019年11月3日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
あき(プロフ) - 青春したくなりました (2019年11月2日 0時) (レス) id: 93ffcf3bfd (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - BeBeさん» わあああコメントありがとうございます( ; ; )!!! 更新バシバシがんばります!! (2019年10月30日 14時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちよ | 作成日時:2019年10月18日 23時