振り向いて、ユンギ先生

ユンギ先生の反応 ページ5

言った後にドキドキし始めて、はあ、とため息が聞こえた時は死にたくなった。

やっぱ面倒くさいよね、そう、だよね。


「……ほら、もう帰れ」


まだ理解してないんですけど、とは言える空気じゃなかった。さっきとは違う意味で泣きそうだと思っていた時。


ガタンッ

「いてっ」

カッシャーン！

「お、おわ……まじか……」


立ち上がった後に椅子にぶつかって、机に手をつこうとした時に間違えてプレパラートを吹っ飛ばしてしまったユンギ先生。

おろおろしている先生を見るのは初めてで、涙なんて引っ込んでしまった。
きゅ、と白衣の裾を握ると、こちらを向くことなく「なに」と言う。少し上ずった声。


「先生」
「うん」
「動揺してる」
「そらするわ」


後悔しそうになったけれど、戸惑っているユンギ先生を見てたらどうでもよくなってきて。

わたわたと割れたプレパラートをしゃがみこんで小さなほうきで片付けをする先生の隣にしゃがみ、耳がほんのり赤い先生に向かって言った。


「先生いつもありがとーございます」
「どーいたしましてー」


なんてぶっきらぼうな「どういたしまして」なのだと笑っていると、「また明日教えてやるから帰れ」と手で払われてしまった。
それでもいい。


拒否されなかった、それで十分だ！

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