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振り向いて、ユンギ先生 ページ28

フィナーレは教室で。

大好きな優しい目を見ているとすぐに涙がこみ上げてきそうになる。
教室に立つユンギ先生を見るのは今日で最後。こうしてこの場所で向かい合うのも、きっと最後。


「先生、私卒業しました!」
「うん」
「返事大きかったでしょ?」
「ん。120点」
「へへっやった」


卒業証書の入った筒を机にコンと置いて、先生の目を見た。
待っててくれているのがわかる。先生はいつも私のことを待ってくれていた。


プリントを教室に忘れた時だって、体育大会の後机に伏せて寝てしまった時だって。私の言葉を、行動を、急かさずに待っていてくれる。


「ユンギ先生」
「ん?」
「私先生のこと好きです」


ゆっくりと歩み寄って、先生のスーツの袖を掴むと、するりとその手を握られた。
瞬間心の余裕はなくなってしまう。元からなかったけれども。


「A動揺してるな」
「そりゃしますよ」
「卒業おめでとう」
「ありがとうございます、」


トン、と先生の頭が肩に落ちてきて、ふわりと香った香水に心臓はバックンバックンだった。
その間手は握ったまま。絶対に熱い。


「A」
「は、はいっ」
「俺Aのこと好きだよ」
「〜っ! 先生好き……!」
「知ってる」


今まで触れて来ようとしなかったのに。私が隙を見せても何にも大きな期待をさせてくれなかったのに。

卒業証書という一枚の紙があることでこんなにも変わる。そのくらい意味のあるものなのだとわかった。

背に回った手が強く私を抱きしめるから。

どうしたらいいのかわからなくておどおどしていると、「抱きしめてくんねーの?」と耳元で低く甘い声が響いて、反射で強く抱きしめてしまった。


.



「不安にさせるかもしれないけど、こわくなったらいつもみたいに俺のこと呼んで」


「『ユンギ先生』って?」


「そう。これからは先生じゃねえけど、Aが呼んだら絶対振り向いてこうやって抱きしめるから」


「なにそれもうすっごい好き大好き」


「うん、俺も」





.


振り向いて、ユンギ先生


終わり

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ちよ(プロフ) - 飴さん» ありがとうございます! 穏やかでほんわりした甘いお話にしたかったので嬉しいです( ; ; )! (2020年5月5日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぽかぽかして心あったまるお話でした! (2020年5月3日 9時) (レス) id: a89f62ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 岩本菜那さん» 何か新しい妄想がパッと浮かんだらここに番外編書きにきますね( ˘ω˘ )! (2019年10月3日 13時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
岩本菜那(プロフ) - 続編凄い見たいです!! (2019年9月30日 16時) (レス) id: 60aae2806b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - いさなさん» ひょえー!!!! ありがとうございますー!!!! (2019年9月30日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年9月7日 20時

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