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未来を描く ページ25

カバンを肩にかけて、それが合図だったかのように先生はドア前まで行くと、ポケットから鍵を出して教室を閉める。


「……好き、って言ったら、怒りますか?」


カチャンと音がして、先生はドアにもたれかかって私を見た。何を考えているかわからない、気だるげな瞳。


「怒らねえよ」
「うん、」
「でもまっすぐ受け取れない」
「……うん」


ず、と鼻をすすると、涙もついでに出てきてしまって、先生の前で泣くのは嫌なのにポロポロとこぼれ出してしまった。

拭ってくれないのはわかってるのに。


「……一時の感情で動いて、可愛い生徒の将来潰すのだけは嫌なんだよ、俺」
「将来、なんて」


「なんてとか言うな。世間体と学歴とか、お前らはくだらない面白くないって思うかもしれないけどさ。幸せな生活送ってほしいなって思ったら結局そこになるんだよ。俺こう見えて生徒すげえ大事だから」


知ってる。

先生が授業のための実験をしてくれていたり、プリントをたくさん作ってくれたり、私たちの大学や進路の可能性を調べてくれたり、色んなところで気にかけてくれていること。

そういうところを知っているからこんなにも好きになって、離れられないのだ。


「そういうとこが好きなんです」
「おうおうここぞとばかりに言うなお前」


思い切って先生の服を掴むと、こんな時なのに先生は軽く笑い出して。
腹が立ってきたから服をぐいっと引っ張ってやった。




「……待っててやろうか」




「え……?」

ぱ、と顔を上げると、先生は見たことがないくらい優しく微笑んでいたから。また泣いてしまって、先生に笑われた。


「せ、せんせ、待っ、どういうことですか?」
「言わせんの、意地悪だな」
「い、意地悪って! 先生に言われたくないです!」
「待ってるよ」


服をつかんでいた私の手の指先だけをかすかに握る。



「ちゃんと進路決めて卒業する時もまだ俺のこと好きでいたら、その時ちゃんと振り向いてやるよ」


ユンギ先生は、どこまでもユンギ先生で。
ちょっと意地悪で、優しくて甘くてかっこよくて可愛い。


指先のぬくもりだけを頼りに、何もかもをがんばろうと、そう決めた高校2年生の秋。

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ちよ(プロフ) - 飴さん» ありがとうございます! 穏やかでほんわりした甘いお話にしたかったので嬉しいです( ; ; )! (2020年5月5日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぽかぽかして心あったまるお話でした! (2020年5月3日 9時) (レス) id: a89f62ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 岩本菜那さん» 何か新しい妄想がパッと浮かんだらここに番外編書きにきますね( ˘ω˘ )! (2019年10月3日 13時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
岩本菜那(プロフ) - 続編凄い見たいです!! (2019年9月30日 16時) (レス) id: 60aae2806b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - いさなさん» ひょえー!!!! ありがとうございますー!!!! (2019年9月30日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年9月7日 20時

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