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優しいモーニングコール ページ24

──トン、

トン、トン


「A」


机がかすかに揺れて、音が止むと低い声が私の名前を呼んだ。静かな空気の中でその声は優しく響く。

ぼんやりとした意識のまま、先生に手を伸ばした。隣の席にいるから、なんかクラスメイトみたいだなと思って、本当になんとなく。


掴んでくれるなんて思っていなかったし期待もしていなかった、


のに。



「寝ぼけてんの?」

クスクスと柔く笑いながら、先生は私の手を取った。

急に伝わってきた自分のものではない温もりに、ようやく夢から完全に目が覚めて勢いよく体を起こした。と同時に腕を引いてしまって、せっかく触れてくれたのにもったいないことをした。


「ご、ごめんなさい。私寝ちゃってて、」
「疲れたろ。他の先生がいっぱい手伝ってもらったって嬉しそうだった。ありがとな」


いつもクラスメイトや他のクラスの子で賑わう教室は、静かで全く違う場所のように思えて、変にドキドキしてしまった。

黄昏時。誰そ彼。隣の人の顔がぼやけてわからなくなるような、世界の輪郭が曖昧になってしまう時間。

目の前にいる先生は、もしかして幻だったりして。


「せんせー」
「うん?」
「私……」


チャックの空いたカバンの中のデジカメが見えて、昼休みの光景が蘇ってきた。
私の言葉を待つ先生は、じっと私のことを見ていた。


「先生と写真撮りたい、です」
「……いいよ。タイマーにして撮るか」
「え、いいんですか?」
「断る理由もねえよ」


デジカメを渡すと、教卓にカメラを置いてくれて、机を少しどかして2人で並ぶ。

普段授業を受けている場所なのに、体操服で先生と写真を撮るのは変な感じだった。

カシャ、と小さく響いた音に妙にどきりとして、カメラを取りに行く先生の背中を見ながらいろんな感情が込み上げてくる。


ここには今私と先生しかいない。
他に誰もいない、2人きりだ。


「ユンギ先生」
「ん?」


私の呼びかけのためだけに、先生は振り向いてくれる。


「先生ピンで撮りたいです」
「ははっ、どうぞご自由に」


ぽんと返してもらったカメラに先生を収める。ピースサインと、グッドサインと。

ふとした瞬間を切り取るように、何の合図もなしにシャッターを切った。

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ちよ(プロフ) - 飴さん» ありがとうございます! 穏やかでほんわりした甘いお話にしたかったので嬉しいです( ; ; )! (2020年5月5日 22時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ぽかぽかして心あったまるお話でした! (2020年5月3日 9時) (レス) id: a89f62ee0c (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - 岩本菜那さん» 何か新しい妄想がパッと浮かんだらここに番外編書きにきますね( ˘ω˘ )! (2019年10月3日 13時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)
岩本菜那(プロフ) - 続編凄い見たいです!! (2019年9月30日 16時) (レス) id: 60aae2806b (このIDを非表示/違反報告)
ちよ(プロフ) - いさなさん» ひょえー!!!! ありがとうございますー!!!! (2019年9月30日 11時) (レス) id: 9ab381c422 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちよ | 作成日時:2019年9月7日 20時

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