決戦前夜に一人。 ページ43
そうやって覚悟を決めたものの、
2人きりにならなきゃそんな話もできないし
翔くんがウチに帰ってきてくれないことには打つ手がなかった。
連絡して2人で話す時間をもらおうとしても
理由をつけて断られるのは目に見えてる。
翔くんの家に押しかけることも考えたけど
失敗すればさらに距離を広げてしまうだけだ。
真中が言ってた“自分勝手になってナンボ”って言葉の“自分勝手”がどこまでの範囲を指してるのかもよくわからなくて、動きにくい。
ため息をついても何も変わらないけど、
思考回路を整理するのには役立った。
家の中に1人。
たった数ヶ月前まで1人で住んでて、その1人の時間がすごく大切だったのに。
今すごく、寂しい。
暗くて広くて冷たくて、足りない。
「慣れなきゃ、だもんな。」
この数ヶ月が特別だっただけで、それが日常に戻るだけ。
翔くんが隣にいる時間が特別だった。
一緒に住み始めてからは特別だった時間が日常になって
そして今、翔くんはいなくなった。
“日常”が“特別”に戻って、“特別”は姿を消す。
無造作に頭をかいて、リセット。
考えないと。
終わりなのか知る方法と終わるべきなら終わらせる方法。
明日の仕事のことも考えて、タイムリミットは残り30分くらいか。
納得いくいい方法が浮かばなかったら、ダメ元でいい。当たって砕けろのスタイルで連絡してみよう。
メッセージはダメだな。
考えて考えて文章を作ったところでいいものが出来上がるとも思えないし
意外と言葉を用意してない方がスラスラ話せたりする、かもしれない。
思いついた案を箇条書きで紙に書き留めていくけど……
これならって案が思いつかなくて、いつの間にか1時間弱経ってた。
やばいやばいってスマホに手を伸ばすとちょうどブルブルと震え始めた。
慌てて液晶を確認すると
「しょう、くん……」
受信したのはメッセージでロック解除に手こずりながらもなんとか開くと
『明日の夜、時間があったら会って話がしたいです』
たったそれだけ。
それだけだったけど、今のおいらにはじゅうぶんすぎて
誤字を何度も直しながら返信した。
『わかった。8時まで仕事あるから9時くらいにウチでいい？』
送ってから、“！”とかつければよかったかなってちょっと後悔して、とにかく返信を待つ。
『うん、じゃあ9時に智くんの家に行くね』
そう返ってきたのを確認して、ベッドに飛び込んだ。
特別でいられる、最後の夜。
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えりか(プロフ) - 初めまして！更新されると真っ先に拝見させて頂きます。どんどんすれ違いが生じてもどかしいです！移行後も楽しみにしてます。 (2017年8月10日 9時) (
レス) id: 6532dac10d (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - 移行しても甘く無い〜！ chitoさん、焦らしますね。ドキドキ心配しながら9時から11時を待ちます (2017年8月9日 22時) (レス) id: 6dba7c15f5 (このIDを非表示/違反報告)
aoi(プロフ) - すごく良いところで終わっていて、焦らされます(*´-`)更新楽しみにしてます！ (2017年8月8日 22時) (レス) id: 6002e3e8e3 (このIDを非表示/違反報告)
satoshiiko(プロフ) - こんばんは！移行して甘い2人を書いてくれてもいいのになぁ〜 (2017年8月8日 21時) (レス) id: 6dba7c15f5 (このIDを非表示/違反報告)
郁奈(プロフ) - vsよかったですよね！しょーくんの目が笑ってなくてそのうち表情も笑ってなくて嫉妬？！嫉妬なの？！と大興奮しました（笑）今回いままでにないダメンズおーのさんですごく楽しんでます（笑）しょーちゃんのぐるぐるはいつも通りでかんわいいですがおーのさん新鮮です！ (2017年7月28日 7時) (レス) id: ebfc2c0aa6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Chito
| 作成日時：2017年2月12日 22時
