今日もあなたが好きでした。(Yuri)

迷子 ページ8

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「ここ、どこ…?」








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ひっそりとした、テレビ局の廊下。

そこに私の情けない声が控えめに響き渡る。







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幸いにも、テレビ局の中に入ることは出来たけど、

その中はまるで迷路。








進めば進むほど、迷い込んでいるのは重々承知の上で、

私はもう一度声に出して呟いた。









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「いや、ここどこ!?」










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人気なんて、どこをどう探しても一切ない。









節電のためか、点いている明かりも

薄暗さをより強調しているだけ。









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このままだと知念さんに会えないどころか、

一生テレビ局から出られないかもしれない。










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私はつい弱気な予測を立てつつ。










もうこの際、警備員にでも見つかって追い出されてもいいから

誰かに会いたい気分だったり…









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ビクビクと背筋を強張らせながら、

長い廊下を右に曲がる。








すると、前の方から誰かの話し声が聞こえてきて

私は、溜めていた息をどっと吐き出した。









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「よかったぁ…」









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一般人の私がテレビ局にいるものだから、

怒られて、追い出されるかもしれないけど、ひとまず安心。









知念さん探しは、テレビ局以外でまた改めて…








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あぁ、でも明日からの知念さんのスケジュール、

全く覚えてない。






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記憶にあるのは、30日に

バースデー公演があったことぐらい。









やっぱりここで知念さんを探すしかない…









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「戻ろ…」








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あの人たちはまだ私に気付いてないのが不幸中の幸い。

来た道を戻ろうと、踵を返したその時…









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「知念はもう終わり?」

「うん。今日はこのまま帰るよ。」









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そこから聞こえてきた声に、

私は息を飲んで立ちすくんでしまった。









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