選択肢 ページ46
***
慧「お取り込み中、非常に申し訳ないんだけど…」
.
時の番人がそっと声をかけて割ってくる。
だけど全く申しわけなさそうな顔をしていなくて
相変わらず読めない、柔らかい笑みをさせている。
.
慧「きみたちは、結局どうしたいの?」
「え…」
慧「今は俺が時間を止めてるけど
俺がいなくなれば時間は動く。」
.
低くなる声。
初めて会ったときみたいに
時の番人が表情を変えた。
.
慧「どうする?あの時みたいにAちゃんが死ぬか、
知念が自分の未来を無くすか…」
.
鋭い目つき。
選択肢は、たった二つ。
どちらかが犠牲にならなければならない…
.
「そ、れは…」
.
私がここに来た理由は
過去をやり直すため。
いや、もっと言えば
“正しい過去”に戻すため…
.
だから、私が迷う意味なんてない。
私はない、けど…
.
「…っ。」
.
チラリと、横目で知念さんを見る。
知念さんはジッと時の番人を見ていて。
知念さんは今、何を思っているのだろう。
何を考えているのだろう…
.
侑李「…それって、二つのうちの一つしか選べないの?」
慧「ん?」
侑李「新しい選択肢はないの?」
慧「と、いうと?」
.
ポツリと、何かを思いついたかのように
知念さんの口が小さく動いた。
.
侑李「だって、その二つの選択肢なら、どっちを選んでも
どちらかが後悔するもん。
Aが死んだら、僕が。
僕がメディアの前から消えたらAが…」
.
だよね?
そう言って、知念さんは小さく笑いかけてくれる。
私は知念さんを見つめながら無言で頷いた。
.
やっぱり、知念さんはすごい…
誰も嫌な思いをしないように考えてくれてる。
.
慧「…あるよ?」
.
時の番人が小さく呟く。
その言葉に、私は思わず目を見開いて。
でも…それには続きがあった。
.
慧「きみたちが“何もなかったこと”にしてもいいなら
新しい選択肢は生まれるよ。」
侑李「どういうこと?」
.
慧「例えば、知念ならHSJを無かったことに。
Aちゃんは、知念を応援していたことを
なかったことに。
やまだは、俺の協力者だってことを
なかったことにできるなら。」
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…！！素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (
レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです（；＿；）素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ﾉ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました！でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました！ほんとうに、良い作品、ありがとうございます！ (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まりも
| 作成日時：2021年11月21日 7時
