*2日目 ページ11
***
10年前に戻って次の日の朝。
知念さんが用意してくれたホテルで
私は、私の、私による、私のための脳内会議を開いていた。
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第一印象が良くなかったとはいえ。
昨日はなんとか知念さんに会えて
知念さんの優しさでマネージャーになれた。
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ただ一番の問題は、マネージャーという仕事が
全く分からないということ。
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社会に出て、一般社会人としての知識は持ってるものの
芸能界のことはほぼ皆無。
他にできることといえば、知念さんの送迎くらいだけど
10歳若返ってる私が運転したら捕まってしまうし…
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「あぁっ…!」
.
ちゃんと役目果たせる自信がない。
自分が出来ることの無さと
自分の計画の無さに頭を抱えていたその時。
.
コンコン…と。
扉のノックが遠慮がちに鳴り響いた。
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「ひっ…!」
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思わず肩を引き攣らせたのは、
扉の向こうに誰がいるか分かっていたから。
この部屋を知ってるのは、知念さんだけ。
だからきっと…
.
「ど、どちら様でしょう…」
“知念です”
「あ、と…私、です…」
“うん。知ってます”
.
扉一枚越しにくぐもったアルトが聞こえてきて。
淡々とした声に私は若干どもりながらも、
何とか声を押し出す。
.
「あの、何か…」
“スタジオ、来てほしいんですが”
「え…」
”今から個人練でスタジオ行く。だから来て”
.
というか、開けてくれません?
そんな少し呆れたような声が聞こえて、
私はそっと扉を開ける。
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「ど、どうも…」
侑李「どうも。」
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目の前には、帽子を深く被って
リュックを背負っている知念さん。
期間限定のマネージャーになったとはいえ、
憧れの人を前にするとやっぱり固まってしまうもの…
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侑李「…大丈夫?」
「だ、大丈夫です!」
侑李「そう…?なら、早く行きたいから用意して。」
.
それだけ言うと、知念さんはフイッと私から目を逸らし
そそくさと踵を返す。
.
まさか本当にマネージャーとしての仕事をすると
思わなかったという驚きと
やっぱり、テレビや公演で見る知念さんと全く違うという
少しのショックを背負って。
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「…っ、すみません、お待たせしました!」
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…!!素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです(;_;)素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ノ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました!でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました!ほんとうに、良い作品、ありがとうございます! (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年11月21日 7時