プロ ページ13
***
「へ…」
.
頭上にゆらりと影が踊って、ふと顔を上げる。
どこか心配そうに、
かなりの至近距離で私を見下ろしていた。
.
「ひ…!」
.
思わず後退りしようとする。
だけど、あろうことか知念さんは小首を傾げ。
どこか不服そうな。
でも不安げな眼差しで尋ねてきた。
.
侑李「僕の踊り…変、だった?」
「へ…」
侑李「変なとこ、あった?」
.
悩んでいた理由が、まさかの踊りについてと思っていたらしく
知念さんは、どのフレーズ?だなんて聞いてくる。
.
「い、いえ!完璧です!」
侑李「そう?」
.
なら良かった、って知念さんは小さく笑って。
だけど、耳のあたりを触り出して
知念さんは掠れた声で、ポツリと呟く。
.
侑李「でも完璧じゃないよ?」
「え?」
.
侑李「きみが今見てるのはあくまで“完成”されたもので…
ファンにはまだ見せられないし、完璧なんて…
…うん。まだまだ程遠い。」
.
少々恥ずかしそうに。
でもそのまま真っ直ぐ口に出した知念さん。
.
本当に、イメージしていた知念さんと全然違う。
.
今私の目の前にいるのは、
昨日の知念さんとは違う、プロの知念侑李。
知念さんのファンになって随分経つけど
まだまだ知らないところがたくさんある…
.
侑李「あ、ずっと聞きたかったんだけど…」
.
あれからまた一時間。
知念さんがやっと休憩を取り始めた時。
知念さんがスポーツドリンクを飲んでいると
そういえば、ってふと口を開く。
.
侑李「きみ…学生さん、だよね?」
「あ、いや。社会人で…」
侑李「え?」
「あ、ち、違います!」
.
社会人という言葉に、目を見開く知念さん。
私は慌てて首を振って訂正を入れる。
.
「学生、です!」
侑李「だよね…学校は?」
「あ、それは大丈夫です。
単位、余裕で取れるので。」
.
これは本当。
.
10年前の私は何もやることなくて、バイトもしてない。
勉強しか取り柄がなかったから、
テストも単位も余裕だったはず。
.
侑李「そっか。」
.
知念さんはどこか安心したように息を吐き出し。
.
侑李「じゃあ名前は?」
***
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Ahr(プロフ) - 本当にめちゃくちゃ感動しました…!!素敵なお話ありがとうございます^ ^ (2022年7月5日 22時) (レス) @page49 id: bfc2ddf8fe (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - まーさん» 初コメントありがとうございます!感動してくださってこちらこそ嬉しいです(;_;)素敵なコメントありがとうございます! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - はるかさん» こちらこそ、今年もお付き合いいただきありがとうございます!来年、、時間作ればまた作らせていただきます( ´ ▽ ` )ノ (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まりも(プロフ) - いくさん» こちらこそコメントありがとうございます \(( °ω° ))/ このお話で感動してくださったようで嬉しいです! (2021年12月13日 23時) (レス) id: 9a2317564f (このIDを非表示/違反報告)
まー(プロフ) - 初コメント失礼します。描写が具体的で、すっごく引き込まれました!でも、最後に近づくにつれて涙が込み上げて来て、、、 面白かったし、めっちゃ泣きました!ほんとうに、良い作品、ありがとうございます! (2021年12月3日 17時) (レス) @page45 id: 2c3bd810a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まりも | 作成日時:2021年11月21日 7時