それはきっと、運命。(Yuri)

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「……っ。」









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違う、と言えなかった。









だって、伊野尾先輩の

言うとおりだったから。









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春のオリエンテーションの時も

夏の期末試験前も、秋の学園祭の時も。









侑李が暗闇から戻してくれて、

侑李に振り回されて、侑李と一緒に笑った。









二年生になって侑李と一緒に過ごして、

私は、“あの人”より侑李のことばかり考えていた。









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人を好きになったのは侑李が初めてじゃないけど、

侑李が相手となると話が違う。









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侑李のことを考えるだけで

じんわりと心の中に温かい何かが沁みていく。









私、侑李のことが好きなんだ。

こんなにも、大好きなんだ…









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慧「図星だった?」









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伊野尾先輩がおどけて言う。

だから、私は素直に頷いて。









先輩は、そっかって

にひひと笑った。









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慧「じゃあ、Aちゃんももう少し勇気出して

知念に返事しないとなぁ。」









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伊野尾先輩の言葉に、

私はもう一度頷く。









今度は、私の番…

私も、ちゃんと侑李に好きって言うんだ。









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「あの、伊野尾先輩…」

慧「んー?」









「話を聞いてもらってありがとうございました。」

慧「いえいえー。」









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伊野尾先輩にお礼を言って

またね、と先輩が手を振ってくれる。









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あいにく、今日は金曜日。









次に会えるのが月曜日だから、

今すぐ返事出来ないけど。









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次に会えるのは、11月30日…

それまでにちゃんと、練習しておこう…









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慧「…ほんと、自分の気持ちに気づくのが

遅すぎだわ。」









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別れたあと、教室でぽつりと先輩が呟いたことなんて、

もちろん知らなかった。









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Winter…

“何度目かの初恋”









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