それはきっと、運命。(Yuri)

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「きゃー、可愛い!」

「写真撮ろー。」









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女の子がスマホを取り出して

カシャカシャとシャッターを切る音がした。









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「はい、ポーズ!」









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学園祭当日。









私はうさぎの着ぐるみを着て

客寄せをしていた。









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理由は簡単。









男女逆転喫茶店だから私も男装しないといけないのに

チビだからか、男装してもイマイチだと言われたから。









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だからこうやって客寄せしてるわけだけど

どっちかといえば、気楽。









着ぐるみを着て、

看板持ってるだけだから。









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「可愛く撮れたぁ。」

「あとで送って。」









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ただ、肌寒くなってきた秋とは言え、

着ぐるみの中は暑い。









休憩まで後一時間。

地獄だ…









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チラリと教室の方を見ると、

お客さんはまあまあ入ってるよう。








それもこれも、私の客寄せ…ではなく

教室の中で、ただにこにこと笑う侑李のおかげ。








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あれだけやりたくないって言ってたのに

いざ当日が来れば誰よりもノリノリで接客してるもん。









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「ふぅ…」









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着ぐるみのなかで息をつく。

休憩までまだまだある。









早く終われ…









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「あ、ここじゃね。知念のクラス。」









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目の前に先輩たちが立っていた。

有岡先輩と、伊野尾先輩と、八乙女先輩。









今年の期末テスト前、

ミケ誤訳事件があって、仲良くなった先輩方。








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大貴「ひぇ、結構混んでるし。」

光「知念が女装するって聞いて冷やかしに来たのに。」









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教室を覗く先輩たち。








彼らの斜め前に立つ着ぐるみが私だとバレないように

私は意味もなく俯く。









だけど…









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慧「でもさ、ここにAちゃんいるし

それでいいっしょ。」









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伊野尾先輩が、私を見た。









伊野尾先輩につられて

有岡先輩と八乙女先輩も私を見る。









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大貴「え、マジ?」









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有岡先輩が少しかがんで

ジッと見てくる。









違う違うと、思わず首をブンブン振るけど、

逆効果…









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光「うわ、本当にAちゃんじゃん!」









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速攻でバレてしまった…









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